映画評「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ=カナダ合作映画 監督アンディ・ムスキエッティ
ネタバレあり

僕はWOWOW開局と共に見始めた人間で、その翌年くらいにスティーヴン・キング原作のTV映画(ミニ・シリーズ)「イット」が放映されたように記憶している。しかし、ミニ・シリーズを観るほど暇ではなかったので、見なかった。それでも画像のピエロが印象深くてよく憶えているのである。本作はそれから27年後のリメイク。

で、僕はキングの恐怖小説は映画に向いていないと常々言っている。だから、キングの映画化は出来不出来が激しいと仰る方には“良いと思われるのは映画に比較的向いている小説が原作なのだろう”と答えたい。

1988年。病弱で吃音の少年ビル(ジェイデン・リーバハー)は、雨の日に弟が作ってあげた紙の船を追ううちに失踪するという事件に遭遇する。観客は、側溝から顔を見せたピエロ(ビル・スカルスゴード)が少年の腕を食いちぎり側溝に引き込んだのを知らされる(終盤ピエロの名前はペニーワイズと判る)。
 これを前提に1年後の本論に入って行く。
 弟の失踪に責任を感じるビルは健康になったものの、5人からなる虐められっ子のグループに所属する。
 以降彼らの言動は「スタンド・バイ・ミー」とほぼ同じで、「ははぁ、彼らが一致協力してピエロと対決する話になるのだな」と見当をつけた通りに展開する。

違うのは、21世紀の映画らしく、べヴァリーという少女を一人、マイクという黒人を一人加えていることである。厭らしいと言えば厭らしいが、これくらいは許してあげないと現在の映画を観ることは不可能になる。実際上も、べヴァリーという少女は演ずるソフィア・リリスも良く、人物造型と共になかなか魅力を放っている。

べヴァリーや肥ったぐうたらの母を持つエディという少年の配置を考えると児童虐待の問題を絡めていて、一週間前に観たピエロを悪役とする邦画「こどもつかい」と共通するところが非常に多い。TV版の「イット」の内容を知らないので何とも言えないが、清水崇がTV版の影響を受けた可能性はあり、そうでなければ驚くほどの類似性と言いたくなる。

「こどもつかい」よりぐっと怖いのは良いが、ペニーワイズの背景や狙いがよく解らないのは左脳人間には弱い。サスペンスより本能的なショックに頼りがちであることも余り気に入らない。しかし、思春期映画にミステリー趣味を交えて進めたため平均的ホラーよりドラマとしての見応えがあり、キングのホラーの映画化としては良い部類であると思う。

サブタイトルは要らんっちゅうに。

"映画評「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント