映画評「ザ・コンサルタント」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ギャヴィン・オコナー
ネタバレあり

自閉症で他人とのコミュニケーションは得意ではないが、物凄い集中力で数字の集合を解析してしまう会計士ベン・アフレックは、軍人の父親に鍛えられたために格闘技・武器の扱いでも無敵、マフィアの資金洗浄などにも活躍している。財務局はその存在に気づくも正体は掴めない。引退するはずだった老捜査官J・K・シモンズは女性分析官シンシア・アダイ=ロビンスンを無理やり捜査に駆り出し、正体を掴ませようとする。
 一方、アフレックは、ジョン・リスゴーがCEOを務める大手メーカーの不正を調べる依頼を受ける。その不正を発見したのは経理のアナ・ケンドリックスだが、彼は部屋に閉じこもって単独で調べ上げてしまう。直後に不正が疑われる財務責任者が自殺に見せかけられて殺されたところで、リスゴーは調査依頼を取り下げる。
 さらに調査を依頼したリスゴーの細君の射殺死体を発見したアフレックは、アナを守るために、「攻撃は最大の防御なり」と、敵が警護する家に乗り込む。

最近の作品らしくジグソー・パズルのように物語のピースを分解して進める序盤の手法がやや過剰でじりじりしかけるが、アフレックの正体と共に、財務省調査部が彼に接近していくちょっとした倒叙ミステリー的な狙いがはっきりする段に至り俄然面白くなってくる。アフレックは財務省に追われる立場であると同時に自分たちの命を狙う者に接近しその攻撃を回避する探偵役の側面もあり、この二重探偵構成と言いたくなるアイデアも興味深い。

お話が終わってみれば、主人公は後ろで暗躍する人物について早々に気付いていたことに観客は気付かされるが、序盤に示された様々なピースが見事に空所に嵌り、ジグソー・パズルが完成するような構成になっているのが上手い。少年時代に彼がやっているパズルが正にそのジグソー・パズルというのだから洒落ている。

最近知的スリラーと思わせておいてアクションに変じていく構成の作品を立て続けに観ているが、その意味では面白かった「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」より更にタイトに作られていて、相当楽しめた。
 その中でも貢献度が高いのは、(絶対量としてはそれほど多くないものの)アクションの見せ方がしっかりしていることである。前述「ジャック・リーチャー」もがっちり見せていた部類であるが、こちらはそれ以上に対象が何をやっているかよく解る見せ方をしている。必要以上にカットを細かく切らないこと、対象に接近しすぎないこと・・・この二点をクリアしているからで、最近これが実行できている映画が増えてきた。昔の映画は当たり前のようにやって来たことに過ぎないが、そこに現在的にスピードのある見せ方が加わっているので、かなりご機嫌になる。ちと褒めすぎかもしれないが。

監督は初めて触れるギャヴィン・オコナーという人で、何と明日観る予定の「ジェーン」もこの監督である。実力のほどが確認できるだろう。

当初は面白味のない役者と思っていたアフレックも魅力を発揮するようになってきました。

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