映画評「スター・トレック BEYOND」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ=香港=中国合作映画 監督ジャスティン・リン
ネタバレあり

1970年代末から「スター・ウォーズ」のブームに乗って映画として作られることになった「スター・トレック」シリーズは、「スター・ウォーズ」に比べて垢抜けない印象があったが、新シリーズは「スター・ウォーズ」より面白いと感じられるくらい。特に第1作は秀作だった。監督がジャスティン・リンに代わったこの第3作はコミカルさが増して、良くも悪しくもリンが担当していた「ワイルド・スピード」数作に似て些か軽い。

カーク艦長(クリス・パイン)が宇宙探査に出ている最中、未知の宇宙船に乗る女性から仲間を助けてほしいと頼まれ、救助に出かけるが、実はクラール(イドリス・アルバ)と名乗る謎の人物が率いる異星人の軍団が、惑星連邦をやっつけようと攻撃を仕掛け、エンタープライズの面々がばらばらになってしまう。

かくして、暫くはばらばらになった面々の並行描写が続くため、主人公たる艦長や副艦長スポック(ザカリー・クイントー)だけでなく、ドクター(カール・アーバン)やロシア風の英語でよく喋るチェホフ(アントン・イェルチン)、クラールに親を殺された女性ジェイラ(ソフィア・ブテラ)と協力して大活躍するスコット(サイモン・ペッグ)も同じくらいの分量で描写され、“絆は弱いものか強いものか”というテーマを打ち出していく。

脚本家(サイモン・ペッグとダグ・ユング)は、連邦軍に強い恨みを持つクラールに“絆は弱い”或いは“戦争が我々を強くする”と言わせ、反国連的なトランプ大統領を思わせる人物像形をしているのが興味深い。製作時まだ候補に過ぎなかったトランプをモデルにしたという噂もある。

賑やかなスペクタクル的見せ場はいつも通りだが、人物をばらけさせて展開した為に散漫になる傾向が若干あり、ユーモアを多めにした反動で力感が不足気味で、3作の中では最も弱体。

北朝鮮と米国の挑発合戦が激しくなっている。まあはったりだろうが、トランプは精神分析の観点から問題があると言われているだけに、どうなるか見当がつかない。

"映画評「スター・トレック BEYOND」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント