映画評「テッド2」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督セス・マクファーレン
ネタバレあり

Allcinema寄稿者A氏の推測は全く正しく、前作を嫌悪した保守系映画ファンたる僕には、続編のこちらのほうがずっと面白く観られた。但し、ディズニーのような教訓譚を徹底して下品なギャグで見せるひねくれぶりは前作のほうが上手く行っていて、本作はディズニー教訓譚の単なるお下品版に堕ちている。

命の通ったテディ・ベアのテッド(声:セス・マクファーレン)は人間の女性ジェシカ・バースと結婚するが、下品な二人はすぐに夫婦の危機に直面する。
 解決には子供を持つのが一番と子作りに励もうとするが、人形のテッドにはその能力がない。そこで相棒マーク・ウォールバーグの精子に頼ろうとするも、ジェシカの体が麻薬でボロボロなのでこれもダメ。そこで養子縁組をしようとしたところ、テッドが人間かどうかという問題が浮かび上がる。新米美人弁護士アマンダ・セイフライドに頼ったものの、案の定人間ではなく所有物という裁定が下る。
 これを悪用するのが前作にも登場したジョヴァンニ・リビシで、何とかテッドを手に入れようとおもちゃの大会社を巻き込んであの手この手を繰り出す。

「子はかすがい」という観念はアメリカにもあるようだとニヤニヤさせられたが、それ以上に現在この手のお話に触れると、どうも悪い癖で人種・民族問題と関連付けて見てしまう。監督と共同脚本も担当したマクファーレンはそこまで本気で考えていないだろうが、殊にほぼ移民(旧移民・新移民・新新移民?)だけで成り立っている国アメリカであのようなバカげた民族差別的大統領令が発令されたのを知るにつけ、中立的な一映画ファンとしては致し方ない反応なのかもしれない。アメリカの映画人はリベラルが多いから、今後暫くは人種・民族差別風刺を底流に忍ばせた作品が多く作られるのではないだろうか。

映画としては、僕の嫌いな下ネタで笑いを取る図式だから一向に感心できないものの、お話の構成は前作より余程がっちり作られていて下品さに目をつぶれば程々楽しめる。しかし、冒頭で述べたようにひねくれ方が物足りない。

前作同様アメリカの文化特にサブ・カルチャーに通暁していないと楽しめないところが多く、僕の知識では追い付いていない部分があるかもしれない。
 その代わり殆どの日本人どころかアメリカ人でも解らないであろう戦前ミュージカルの名作「四十二番街」や「ゴールド・ディガース」シリーズのパロディーはアメリカのミュージカルを数多く見ている僕には大いに楽しめた。彼らがニューヨークへ現れるところでかかるナンバーは「百万長者と結婚する方法」の「ニューヨーク」である。

その他ニール・ダイヤモンドの「スイート・キャロライン」とティファニーの「ふたりの世界」の使い方も面白いが、特に後者は中年アメリカ人にはバカ受けの筈。邦画「テルマエ・ロマエII」における松島トモ子ネタに匹敵する、外国人には解らないギャグと思う。

終盤のコミ・コンを見て、また悪い癖で、日本のコミケが「共謀罪」で打撃を受け、若い漫画家が育ちにくなるかもしれないという噂を思い出した。漫画以外にも経済活動にダメージがあるかもしれないと言われる。その他、人権に関して色々問題がありそう。僕は「資本論」を読むのが怖くなった。杞憂に終われば良いですがね。

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