映画評「ズートピア」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
ネタバレあり

昨年日米共に評判を呼んだ(らしい)ディズニー製アニメ。

一見あらゆる動物たちが仲良く暮らしているズートピアという世界。ここにも実際には差別があり、そんな差別が大嫌いなウサギ美人ジュディ(声:ジニファー・グッドウィン)がウサギとして初めて警官になるが、命じられたのが駐車違反の切符切りなので落ち込む。
 しかし、泥棒逮捕に活躍したのをきっかけに、行方不明になったカワウソ紳士の行方を48時間以内に探し出すことを条件に捜査を認められる。それができなければ首である。相棒には、彼女を詐欺で騙したキツネのニック(声:ジェイスン・ベイトマン)を逆に詐欺的な手法で雇い、目撃情報などから、行方不明事件が世間を賑わせている14件の肉食動物失踪事件と関係があることを掴むと、意外な悪玉が浮上してくる。

捜査ものとしては実写の凸凹コンビ刑事を踏襲した内容で、中でも30年以上前の「48時間」を意識しているように思われる。厳密に言えば新味はないわけだが、動物アニメでは珍しいのでそこそこ楽しめる。

しかし、特にアメリカで評価されたのは、ズートピアのモデルにしているであろう実際のニューヨークにおける人種差別の問題と、人間が誰しも持っているかもしれない偏見とを、娯楽性満点のお話のうちに見せた風刺性にあるのだろう。ただ、それ自体も必ずしも目新しいものではなく、実写なら説教臭くて辟易しかねないところをアニメだから見ていられるという程度ではないかというのが僕の印象。偏見の部分の見せ方はなかなか巧いが、感心しきりという程ではない。
 先日観たピクサー製の「アーロと少年」もそこはかとなく人種問題を絡めていたし、アメリカの人種問題の根が深いことがよく解る。トランプ大統領の出現を考えると、予言的な映画と思えなくもない。

先月読んだ黒人作家の小説「アメリカの息子」は黒人人種に根付く抑圧の意識を描いて圧巻だった。

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