映画評「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督J・J・エイブラムズ
ネタバレあり

東京時代に「スター・ウォーズ」第1シリーズ(エピソード4~エピソード6)は映画館で順番通り観た。熱烈なファンにはならず、同じ頃公開されたアルフレッド・ヒッチコックの古い映画のほうが「ずっと面白いや」と思った。が、SFがマイナーなジャンルであった当時SFXを駆使した映像は実に新しく、その衝撃たるや、2016年において若い人が最高レベルのVFX(CG)を観る時の比ではなかったであろう。
 お話自体も海賊映画のテイストがあり、そこに共和制/帝政ローマの政治形態や風俗を重ねるような展開を興味深く感じたものである。

1977年頃ジョージ・ルーカスは9部作の予定であるとインタビューで語っていたものの、第2シリーズが一向に登場しないのでルーカス氏も諦めたかと思っていたら20年近く経ってようやく始まった。しかし、その第2シリーズはVFXに頼って前シリーズのような古典的な感覚が薄くて物足りず、監督に復帰したルーカスのカットバックも妙にぎこちないと思うなど、SFに物珍しさがなくなった時代にあって血沸き肉躍るというところまでは行かなかった。

そして、この第3シリーズは色々事情があったらしくルーカスは制作に関わらず、ディズニー系統のスタッフで作られることになった。モーリス・ルブランではなくアルセーヌ・ルパン(ボワロー=ナルスジャック)が書いたアルセーヌ・ルパンもの(パスティーシュ作品)のようなものと言えば良いのだろうか。
 しかし、この第3シリーズ第1作を監督したのは僕が割合買っているJ・J・エイブラムズで、第1シリーズ第2作「帝国の逆襲」の脚本を書いたローレンス・キャスダンらと組んで脚本も担当しているが、この人の良いところは内容におためごかしがないところである。

舞台は第1シリーズ終了の30年後くらいらしい(映画の製作年にほぼ合わせた形)。
 帝国の残党が“ファースト・オーダー”というナチスもどきの組織を作っていて、レジスタンスであるパイロットのポー(オスカー・アイザック)が彼らに捕らえられる。その兵士たる“ストームトルーパー”の一人フィン(ジョン・ボイエガ)が裏切って彼の脱出を手伝うが、砂漠の星ジャクーに墜落してしまう。
 そこにはスクラップを売る美人レイ(デイジー・リドリー)がいて、彼女とフィンはやがて行方の分からなくなったポーが可愛がっていたドロイド(一種のロボット)BB-8を連れて、おんぼろ宇宙船で飛び立つ。BB-8は最後のジェダイであるルーク(マーク・ハミル)の居場所を示す地図を収めている。
 間もなくこのおんぼろ宇宙船に本来の持ち主であるハン・ソロ(ハリスン・フォード)とチューバッカが乗り込んできて、“ファースト・オーダー”軍とドンパチをやらかす。やがて帝国残党は共和国(惑星)に攻撃を仕掛け、色々の出入りの後、フォースを秘めていたレイがハン・ソロとレイア姫(キャリー・フィッシャー)の息子で今や残党指揮官カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)と対峙することになる。

というお話で、テイストは第1シリーズに近く古典的、良い意味でのチャンバラ映画のお楽しみがある。第1シリーズ・ファンを中心に批判的な人も少なくないが、エイブラムズの展開ぶりはこれまで同様テクニカルでない代わりにオーソドックスで頗る見やすい。

出来栄えに余り関係ないところで第1シリーズの主役3人が勢ぞろいする同窓会ぶりは楽しいが、皆さんお老けになった。別の作品で久しぶりに観たキャリーはかなり太っていたが、本作では多少痩せた上に服装で誤魔化している感じ。ハリスン・フォードの一時期曲がっていた口も普通になった。

俳優(スター)たちが戦う映画じゃない。

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