映画評「ソロモンの偽証 前篇・事件」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・成島出
ネタバレあり

三国連太郎、高原里絵(深津絵里の旧芸名)と同じく、デビュー作の役名を芸名にした新人・藤野涼子は、蒼井優にかなり似ている。教師となった現在の彼女に尾野真千子が扮しているが、蒼井優のほうがベターだったかもしれない。蒼井嬢ではもっと陰湿になってしまうか。

1990年12月25日、雪の積もる校庭で、中学2年生のウサギ飼育係・涼子が相棒の野田(前田航基)と共に、同級生の柏木(望月歩)の死体を発見する。佐々木刑事(田畑智子)ら警察は自殺と判断するが、目撃者と称する何者かから、いじめっ子の大出(清水尋也)らが殺したと告発する手紙が教師や父親が刑事の涼子らに届けられる。

この時点で観客に知らされる手紙の主は大出らにいじめられていた女子生徒・三宅樹里(石井杏子)と浅井松子(富田望生)である。手紙の情報が嘘らしいと親から聞かされた松子が樹里の家に急ぐ途中に交通事故に遭って死んでしまう(本作最重要の省略がここにある)。
 警察と学校が臭いものに蓋をするように事件を解明したがらないのに業を煮やした正義感の強い涼子は、柏木の小学生時代の知人・神原(板垣瑞生)と知り合ったことから、自殺か他殺かを裁定する学校裁判を開くことにする。

宮部みゆきの長編小説を成島出が映画化した作品で、二部作の前編である。後編を観て一作品として語るのが理想だが、映画の場合は小説と違って独立した作品と考えうるので、軽く述べておきましょう。

告発の手紙が出て来てマスコミが絡んで不確かな情報を確かな情報のように扱うところは先日の「白ゆき姫殺人事件」と同じ構図ながら、この映画はそこに興味を示す代わりに、次第に(概念上の)大人と子供の対立を前に出し、最終的に学校で子供たちだけで裁判をするという新機軸を打ち出す。
 もう少し子供っぽい事件での学級裁判みたいなお話なら珍しくもないのだろうが、殺人か自殺かという重大な問題を学校で裁くというのを僕は、少なくとも映画では観たことがなく一応新機軸。一応なのはこの時点では青臭い感じが否めないからで、これに関しての最終評価は後編を観てからでないとそれこそ裁定できない。

因みに、今年の前半に地上波放映があったが、2時間枠という放映時間(実質90分強)と実際の上映時間(前篇122分、後篇147分)との差を知って、無視した。前篇で30分、後篇で55分程度もカットされては仮に内容は解っても鑑賞したことにならないからである。誠にけしからん。

映画史的には「告白」(2010年)と同じグループに入れても良いのだろうなあ。

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