映画評「テルマエ・ロマエII」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・武内英樹
ネタバレあり

邦画のタイムスリップSFとしては「サマータイムマシン・ブルース」(2005年)に及ばずながら大いに笑い、楽しませて貰ったコメディー大作第二弾。

紀元二世紀、ローマ帝国五賢帝の一人ハドリアヌス帝(市村正親)は何かとテルマエ(公衆浴場)に頼り、その度に浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が壁に突き当たる。が、不思議とそういう状況に追い込まれると必ず彼は現代日本へタイムスリップすることになり、“平たい顔”族(=日本人)のアイデアをローマに持ち帰り成功する。

という基本路線を前作から踏襲しながら、笑いのパワーを増している。同じパターンの繰り返しながら、あの手この手と、桶風呂、力士、指圧といった何気なく裸や温泉に関係ありそうな要素と趣向を繰り出し手詰まりを感じさせないよう努力を尽くしていることに、大いに感心させられる。マンネリを上手く利用している見本とも言える。

中盤以降、ハドリアヌスを継ぐ皇帝候補ケイオニウス(北村一輝)をめぐる元老院の画策が絡む陰謀劇に重心を移していくが、前作より喜劇性を維持した作劇になっているのが良い。男色も盛んであった古代ローマにおいてケイオニウスの好色性が可笑し味だけでなくミステリー要素として機能する辺りは出色(と言ったら褒め過ぎか?)。

ルシウスが日本へタイムスリップすることに関してはご都合主義的な印象もあるが、“涙を流すと元の世界へ戻る”というアイデアは漫画家志望のヒロイン(上戸彩)を絡めた終盤実に上手く使われ、膝を叩いた。

松島トモ子がクマに噛まれるという、若い人と外国人には解らない、彼女の経験(ライオンに襲われ、ヒョウに噛まれたこと)をパロッた描写も傑作なり。

原作はヤマザキマリのコミックで、監督は前作に続いて武内英樹。

欧米喜劇に笑えなくなって久しいが、本作には笑った。ギャグがきっと日本的なのだ。

"映画評「テルマエ・ロマエII」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント