映画評「いつも2人で」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1967年イギリス映画 監督スタンリー・ドーネン
ネタバレあり

スタンリー・ドーネンとオードリー・へプバーンの監督=主演コンビでは「シャレード」(1963年)という抜群に面白いサスペンスの傑作があるが、この夫婦を描いた変則ロード・ムービー風ドラマも傑作である。

離婚寸前の状態にあるベテラン夫婦アルバート・フィニーとオードリーが車の中で話し合う。その結果として走馬灯のように蘇って来る過去即ち結婚前、新婚時代、倦怠期の始まり、そして現在ところころ場面が変わっていく。
 ある時代が別の時代に挟まれるという、サンドウィッチ状に構成されている箇所も目立つのだが、何と言っても本作の特徴はそれらの殆ど全てをマッチ・カットで繋いでいる洒落っ気である。
 例えば、若い時ヒッチハイクを無視され、今度は運転する中年の彼が若いカップルを無視するショットに繋がるという具合。或いはマッチ・カットでの繋ぎというより類似のシーンとして二つを繋いでいるところも多い。類似しているが環境ががらりと変わっていることを示し、その対照を鮮やかに浮かび上がらせるという仕組み。また、マッチ・カットに二つの時制が一つのショットで表現されるトランジション・ショットを加えた縦横無尽、超絶技巧ぶりには腰を抜かす。こんな映画、他に観たことないです。

お話ばかり追っている人にこういう楽しみは解らない。そういう人からは、だから、「ごちゃごちゃしている」という感想が洩れることになる。この人は「ごちゃごちゃしている」を恐らく「煩雑である」の意味に使っていると思うが、見た目はごちゃごちゃしていても全く煩雑ではない。本作が時期ごとの対照を見せることに主眼を置き夫婦のあり方・あり様(よう)を洒落っ気たっぷりに眺めた作品であることをきちんと理解すればそんな表層的な感想が洩れるはずはないのだ。確かに夫婦の危機を描いているわけだが、映画が神妙さを避けているようにそう深刻に観ずに、ショットと場面の洒落た繋ぎと、時代ごとのオードリーの髪型・ファッションの変化を楽しめば良いのである。

ただ、「おしゃれ泥棒」(1966年)や本作でのオードリーのメイクは余り好きではなく、後の「暗くなるまで待って」(1968年)のほうが良い。しっとりしたヘンリー・マンシー二の音楽も貢献大。

三度も観ているのに、何故かIMDbに投票するのを忘れていた。今回は早速9点を入れてきたデス。

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