映画評「ガール」

☆☆★(5点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・深川栄洋
ネタバレあり

昨今日本映画界では連作短編小説集をそれぞれの登場人物の交錯により一つの長編映画として再構築するケースが増えているが、奥田英朗の同名短編小説集を深川栄洋が映画化した本作もそうした一編である。

広告代理店に勤める29歳独身の香里奈、不動産会社の課長に昇進した34歳既婚の麻生久美子、文具メーカー勤務の34歳未婚の吉瀬美智子、自動車販売会社勤務の36歳シングルマザーの板谷由夏の四人が女子会で集まる場面からスタート。

この序盤を見る限りでは、アメリカのTVドラマ(とその映画版)「セックス・アンド・ザ・シティ」を多分に意識している感じで、風俗要素を盛り込んでいる点で共通性がなくもないものの、とにかく下ネタに走りがちなあちらさんとは違って、言わば中間的年齢層の女性像を等身大的に上品至極に描き出している。女性映画を観るような日本女性に下ネタ忌避傾向があるからだろうが、等身大と言ってもリアリズムに傾いているわけではなく、年齢は比較的近くても異性関係の微妙に異なる四人の女性を一種の雛型にして、似たような環境にいる同世代の女性鑑賞者に生活感情的に共感をもって楽しんで貰おうというのが狙いでありましょう。

“女性は最後までガールである”という結論に至る語り手の香里奈は、将来において年上の三人のいずれかになる選択を迫られる可能性が強く、専業主婦にはなりそうもない。
 彼女らに関わって来る男性陣は、女性上司にあからさまに反抗的態度を取る要潤を除けば、所謂草食系の人畜無害のようなタイプばかりで、もう少し性格の多様性があってしかるべきだったと思うが、本作における男性は女性の個性を引き立てるダシみたいな扱いらしいから文句を言うには及ぶまい。

といった次第で、一般的には女性向き映画と思いつつ、原作者が男性である本作がどこまで女性の深層心理に正確に迫っているか解らない僕がこんなことを言うのも何であるが、女性心理を勉強する為に男性諸君が見るのも一興かもしれない。

“ガール”と言えば、僕には、ビートルズでございます。

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