映画評「世にも怪奇な物語」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1967年フランス=イタリア合作映画 監督ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ
ネタバレあり

エドガー・アラン・ポーの怪奇小説三話を当時全盛期を迎えていた仏伊の三監督が映像化したオムニバス恐怖映画。

第一話は中世が舞台で、我儘な伯爵令嬢ジェーン・フォンダが好きな従弟ピーター・フォンダに冷たく扱われたのに腹を立てて手代に命じてその馬小屋に火を放つが、豈計らんや、馬を助けようとした従弟も死ぬ。しかるに、彼の魂が乗り移った黒馬が悲嘆にくれる彼女の前に現れ、彼女は馬に取り憑かれる。
 監督はジェーンの恋人だったロジェ・ヴァディムで、彼らしい耽美趣味を大いに発揮する一編。中世という設定なのに彼女の衣装が時々同じコンビによるSFエロ映画「バーバレラ」もどきになるのが特に面白い。怖いというよりは幻想的な怪奇劇である。

第二作は唯一原作も知っている「ウィリアム・ウィルソン」。舞台は近代。
 テーマは欧州でファウスト伝説と同じくらい流布しているドッペルゲンガーで、名前も同じウィリアム・ウィルソン二人がジキルとハイドのような別個の二人物として対峙、善なる方が悪なる方に殺されるが、相手は実は自分であった為に悪なる自分も死ぬ羽目になる。
 演ずるのはアラン・ドロンで、緊迫感とムードの醸成に優れたルイ・マルらしさという点で不満が残るが、ドロン・ファンには楽しめる一編になっている。ブログ友達の“時代の情景”のトムさんによれば、アラン・ドロンという俳優の二面性を顕す作品として象徴的に見ることができ、その点に注目して観れば尚更楽しめること請け合い。ブリジット・バルドーがお付き合い的共演。

最後は一番評判の良いフェデリコ・フェリーニ監督作品で、舞台は現代。
 楽屋裏暴露やサーカス趣味など「甘い生活」(1960年)以降表現されてきた彼の趣味性を色々と盛り込んだ一編で、途中の三分の二くらいまでは一向に怖くなく、寧ろフェリーニがやりたいことをやってるわいとニヤニヤさせられるが、イタリアに招聘された英国俳優テレンス・スタンプがお土産のフェラーリに乗ってからは少女の姿をしている悪魔が本格的に活躍し始めて、恐怖が醸成されてくる。
 お話の構成としてはイタリアに着いた時から悪魔に魅入られているようで、“カトリックではないのでイタリア人が描く悪魔像とは違う”とご本人が仰る(笑)ように綺麗な悪魔である。それ故に恐怖は余計に増幅されるという仕組みで、退廃に耽ってきた男らしい因果応報ものと言うこともできる。

夫々を比較するのも良いが、ポーらしい幻想性が終始一貫しているのが大いにヨロシク、作品全体がオムニバス映画として良く出来ている。

タモリが案内役を務める「世にも奇妙な物語」は本作に影響されたタイトルでしょう。

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