映画評「孫文-100年先を見た男-」(BS日テレ放映版)

☆☆★(5点/10点満点中)
2006年中国映画 監督デレク・チウ
ネタバレあり

昨年辛亥革命から100年を迎えジャッキー・チェン主演で「1911」という映画が作られたが、その数年前から本国では沙汰されていたようで来月には「孫文の義士団」(2009年)というアクション映画と予想される作品がWOWOWで放映される。その前に観ることになった本作は、「宋家の三姉妹」「1911」同様ウィンストン・チャオが孫文を演ずる2006年製作のドラマである。

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1910年、十数年に渡って起した蜂起が尽く失敗に終った孫文は身の保全と資金集めを兼ねてペナン島に住む海運業の華僑シュー氏(ワン・ジェンチョン)に援助を求めるが、住居だけ提供されるに留まる。
 医師でもある彼の最大の味方は看護婦チェン・ツィフェン(ウー・ユエ)で、彼の危険を回避する為にスパイもどきの行動も色々と取って尽くしながらも、あくまで25年前に結ばれた正妻のいる彼を精神的に支える立場を貫き、1911年辛亥革命の成功の末に彼が国民党総裁になった後身を引く。

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革命を起こした人物の作品としては些か生ぬるいお話に終始するが、本作の眼目は恐らく革命の成功の裏にツィフェンという健気な婦人がいました・・・というロマンス面を描くことにあるらしいので大いなる肩すかしとして受容する外ない。
 史実としては19歳の時に盧慕貞と結婚して30年付添い、日本時代には大月薫という日本人妻を迎え、革命後に慕貞と離婚し有名な宋慶齢と再婚している。つまりツィフェンという女性は決して彼の女性遍歴の中で表舞台には出て来ず、実際にいた人物かどうかさえしかと解らないが、こういうロマンス的伝記ものが成立するのもそれ故。そのロマンス面を強調する為にまたシュー氏の娘ダンロン(アンジェリカ・リー)と氏の片腕ルオ(チャオ・チェン)との相似形ロマンスを並行して展開させている。

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孫文以外は実在した人物かどうか確認できていないので伝記ものとして甚だ覚束ない印象を覚えるが、映画としてはそれより展開のぎこちなさが気になる。特に、孫文の前にダンロンとルオの関係を描き、彼女が落とした翡翠がらみで孫文と関連付けていく序盤は今一つ。ここはショットと場面の繋ぎをもう少し工夫すれば文字通り(作者が狙ったように)気の利いた展開になった筈なのに実際には間の抜けた印象が残っている。

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