映画評「トゥルー・グリット」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
ネタバレあり

ジョエルとイーサンのコーエン兄弟の作品だからうっかりオリジナルと思い込んでいたが、観始めて暫くして漸く気が付いた。「勇気ある追跡」のリメイク(チャールズ・ポーティスの西部小説の再映画化)だったのかい。原題通りの邦題から思い出せなかったところを観ると僕も相当耄碌したらしい。先月【本館】でこのオリジナル作品に絡めて画像問題を出したばかりと言うのに・・・。

19世紀末、14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)が雇い主である父親を殺してインディアン居留地に逃げた雇用人チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に復讐する為、“真の勇者(トゥルー・グリット)”と呼ばれる保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇うが、保安官はぐうたらの酔いどれで、やっと引き受けたと思ったら彼女を置いて行く始末。

まず14歳の少女が海千山千の男たちと丁々発止とやる序盤からなかなか面白く、彼女が買ったばかりの馬に乗って川を渡る場面が前半の見どころ。

コグバーンは彼を逮捕しに向うテキサス・レンジャーのラブーフ(マット・デイモン)と賞金稼ぎのつもりで出かけたのだが、結局喧嘩別れして彼女に協力することになる。そしてチェイニーを含む一味を待ち伏せしていた二人の前にのこのこラブーフが現われて作戦は失敗、一味に捕えられた少女を救う為にコグバーンは一人で四人に立ち向かい、ラブーフも射撃の腕を発揮する。

「勇気ある追跡」ではラブーフがガラガラヘビに噛まれて命を落とすのだが、本作では少女が噛まれて馬とコグバーンが文字通り“懸命に”医師の許に運ぶ、という展開になっている。オリジナルのジョン・ウェイン同様四人に立ち向かうブリッジスに痺れるが、この馬を駆る場面もなかなか良い。それまでの喧嘩友達的展開が利いて大いに友情が感じられてくるのである。

また、旧約聖書からの引用が幾つかあるせいか、40年前のオリジナルとはぐっと違うユダヤ寓話的な後味を残す。コーエン兄弟らしいコミカルでとぼけた味付けも多いが、終盤はそこはかとなくしんみりとさせられる。

人物造形も相当面白く、出演者が各々好演。ヘイリーちゃん、扮したマティ同様大したものだ。

但し、序盤の裁判場面など前半にもう少し簡潔に描ける部分が多いので減点。

口論ばかりしているのに最終的に残る味は「友情ある追跡」。

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