映画評「彼岸島」

☆☆(4点/10点満点中)
2009年韓国=日本映画 監督キム・テギュン
ネタバレあり

クロッシング」では目を見張らせたキム・テギュンだが、松本光司のコミックを映画化した本作はいつも通りの通俗的内容。これまでの仕事ぶりを見るとこれが彼の本質なのだろう。

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高校生の石黒英雄が二年前に行方不明になった兄がいると教えられた謎の島に、弓添智久、瀧本<てっぱん>美織ら仲間五人と共に行くことになり、妖艶美女・水川あさみの案内により島に上陸するが、そこでは住民の一部が吸血鬼化しており、再会した兄・渡辺大が加わっている島のレジスタンスと力を合わせて、元祖吸血鬼の山本耕史率いる吸血鬼グループと対決することになる。

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映画におけるゾンビは吸血鬼のアイデアを拝借して大昔から流布していた伝説とを併せて再構築したものと理解されるが、僕は吸血鬼の不肖の息子と考えている。吸血鬼が恐らくは自分たちのグループを滅ぼさない為にむやみやたらに人を襲わず、弱点も十字架、にんにく、日光と明確だったのに対し、ゾンビは襲いまくって却ってサスペンスが感じられないし、弱点が作品ごとに一定しない印象があるからである。

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ところが、90年代以降吸血鬼にゾンビものの要素が逆輸入され日光もにんにくも十字架も弱点ではない吸血鬼が現われ、昨今はゾンビよろしくむやみやたらに襲撃する品のない吸血鬼ものが多い。本作はその類で日本の吸血鬼だから十字架は無視しても良いと思うが、襲撃傾向が強いのはゾンビの亜流にしか思えず余り感心できない。
 吸血鬼に噛まれても感染せず血が混じって初めて感染するというのは新味がある以上に合理的で、評価できる。

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という具合にゾンビものの亜流たる設定が気に入らないので☆★は少ないが、描写自体は意外にきちんとしている。ちゃらんぽらんなキム監督としては旧作「火山高」などより余程マシじゃなかろうか。

但し、主人公の青さは相当イライラさせられる。あの類の人物は集団を全滅に導く可能性が高く、この作品の描写では共感も好感も持てない。

昨日、山道で友人とすれ違う時に「大丈夫か(=吸血鬼になっていないか)」と確認する夢を見ました。

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