映画評「コネクテッド」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年香港=中国映画 監督ベニー・チャン
ネタバレあり

ヒッチコック的な巻き込まれ型のアイデアと切れとユーモアで僕を感心させた近年サスペンス映画の傑作「セルラー」を香港と中国の合作でリメイク。アメリカ映画界がアジア映画をリメイクするケースが増大している時代にあって、本作のようなケースは実に珍しい。

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ロボット設計者の美人バービー・スーが何者かに誘拐され小屋に監禁され、その直後破壊された電話を修繕して何とか繋がったのが経理士ルイス・クーの携帯電話。彼は訝しく思いつつ懸命な様子に通りがかった白バイ警官ニック・チョンに電話に出て貰うものの、犯人グループが戻って来た為に彼女は会話が続けられず、警官は去ってしまう。が、クーは電話から洩れ伝わる様子から彼女の訴えが本物であると信じ、その娘が学校から誘拐されるのを何とか阻止しようと車を飛ばす。

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骨格はオリジナルとほぼ同じだが、パワーアップしようと変えた部分は尽く改悪と言わざるを得ない。

まず、カーアクションが香港映画らしく長く、かつ、派手になりすぎている為ヒッチコックの言う“本当らしさ”が失われている。“あそこまで危険を冒してまで見知らぬ被害者を救おうとはしないだろう”と思わせてしまう。劇映画にとって嘘は必要不可欠だが、少なくとも見ている間はそう思わせてはいけない。

息子との関係は恐らく経理士の心理を裏打ちする為に用意したのだろうが、その効果より終始モタモタする原因になるマイナス面が大きいので、息子という要素はなくもがな。特に、二つの家族が交わる終幕部分のだらけた進行ぶりにはうんざりさせられる。

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その前のチョンの元部下のどんでん返し的裏切り行為も不要。ICPO(インターポール)が悪役であるというだけで十分、官憲の悪役を二重にしたところで屋上屋を重ねるだけで逆効果である。おかげで元刑事たる白バイ警官チョンの活躍は増えたが、全ての登場人物の重要度が均等化した為に、巻き込まれた一般人がいかにヒロインと娘を救い出すかという所期の目的たるサスペンスの面白味が終盤崩れて、一種のヒーロー映画になり果てる。

といった次第で欲をかきすぎて失敗した典型と言うべき出来ではあるが、オリジナルのアイデアの面白さはある程度保持されているので、上記の星くらいは進呈したい。

最後の方はジャッキー・チェンのポリス・アクションみたいでした。さすがベニー・チャン(苦笑)。

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