映画評「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」

☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり

取引先があって仕事で何度か出かけたことのある埼玉県入間市に伝わる民間伝承をモチーフにしたCGアニメで、フジテレビ50周年記念作だそうだ。

幼児期に母親を亡くし、現在は父親と二人暮らしの高校一年生・遥が母親の形見である手鏡を失くしてしまったことに気付き、お稲荷様にお祈りをしていると、突然現われた子狐に持ち物を盗まれてしまう。その後を追ううちに泉に吸い込まれて狐たちが人間のほったらかしにした物を掠めて集めている島に辿り着く。
 テオと名乗る子狐の説明からその辺りの事情を知った彼女は手鏡を取り戻す冒険を始め、頼りないながらもテオの力を借りて、人間の想い出の象徴である鏡を集めてこの異界を征服しようと企んでいる男爵から奪還する羽目になる。

という物語は「不思議な国のアリス」のヴァリエーションと言って良いが、「アリス」の日本版には宮崎駿の「千と千尋の神隠し」という秀作があるので比較すると大分寂しい出来と言わざるを得ない。
 何が違うかと言えば、「千尋」が現実をファンタジーの形で表現しているところに凄味があったのに対し、こちらは“ファンタジーありき”である印象を免れないのである。ハリウッドの大作でも宮崎駿の境地にはなかなか達し得ないのだから無理はないものの、他人の夢の中を覗き込んでいるような印象がある為に異界にいる時のヒロインの冒険に素直にヒヤヒヤすることはなかなか難しい。

そこが楽しめなければ、物を大事にし思い出を大切にし父親との関係を見直すというテーマの方も大してアピールできないわけで、「春の雪」「県庁の星」の脚本に首を傾げた佐藤信介の脚本(安達寛高=乙一と共同)・監督にはまたまた不満を覚えることになった。

野球中継で民放のアナ氏は「当り損ない」、NHKのアナ氏は「当り損ね」と言うことが多いが、「ほったらかし」に対し「ホッタラケ」はどこの方言? 造語?

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