映画評「レディ・チャタレー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2006年フランス=ベルギー=イギリス映画 監督パスカル・フェラン
ネタバレあり

猥褻裁判で知られるD・H・ロレンスの同名小説の5度目の映画化。56年のマルク・アレグレ版、82年のジュスト・ジャカン版、93年のケン・ラッセル版を見ているが、この中ではやはり本国英国の93年版が最も気分が出ていた。僕は伊藤整の翻訳版で原作を読んでいるが、女性の自我の確立を描いた至って真面目な純文学作品である。

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第1次大戦後の英国炭鉱地帯、貴族の夫(イポリト・ジラルド)が戦傷で下半身不随になった為、妻のコンスタンス(マリナ・ハンズ)は肉欲と夫の頑迷さへの嫌気から森番パーキン(ジャン=ルイ・クロック)と結ばれ、その日から彼女は小屋での逢瀬に勤しむようになる。

お馴染みのお話なのに、森番がいつものメラーズからパーキンに名前が変わっているのは何故なのでしょう。聞くところによると、原作の3種類あるうち有名な第3稿ではなく第2稿が使われているらしく、それに関係があるのかもしれないが、名前の違いはともかく、今回の森番にいつもの野卑さがなく彼が自分の繊細な性格を「女性的である」と悩んでいる設定に多少の新鮮味がある。

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いずれにせよ、ヒロインの自由への希求と自我の目覚めを描いた内容には大差がないので個人的にそう面白いと言えないのはやむをえまい。が、夫のスノッブぶりがしっかり描かれ、それに対するコンスタンスの反応も繊細に描かれているので映画として評価できる部分もある。

また、何故かこの原作はフランスでの映画化が目立つのだが、ナレーションの使い方にフランソワ・トリュフォーみたいなところもあって興味深い。但し、フェードアウトによる場面切り替えにTV映画の再編集版のように気の抜けるようなところがあり、ドラマの盛り上がりを殺ぐ感がある。

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主演の三人に余り英国的な感じがしないのも残念だが、コンスタンスに扮するマリナ・ハンズは若い頃のシルヴァーナ・マンガーノにイングリッド・バーグマン的な柔らかさを足した感じでなかなか面白い。「みなさん、さようなら」に出ていたようだが記憶になかった。

隠すことは想像力を刺激する。従って、猥褻にしているのはボカシである。野暮な官吏にはそれが解らんようじゃね。

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