映画評「大帝の剣」

☆☆(4点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・堤幸彦
ネタバレあり

夢枕獏の伝奇小説を「TRICK」シリーズの堤幸彦監督=阿部寛主演コンビで映画化。と来れば、作品の狙いは自ずと解るでありましょう。

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徳川三代将軍家光の時代、謎の金属オリハルコンで作られた三種の神器(一般的に“じんぎ”と言うが、本作では“しんき”と清音で読んでいる)が何故か日本に集中。伝奇ものにありがちな実にいい加減な設定と言うべし。
 とにかく、その一つである大剣を持っている汚らしい大男万源九郎(阿部)が、二組の粘着質液状宇宙人、豊臣家の最後の一人である舞姫(長谷川京子)を守る真田雪村(津川雅彦)一派、謎の忍者三人組、美形の武者・牡丹(実は天草四郎=黒木メイサ)と賑々しい顔ぶれが織りなす神器争奪戦に巻き込まれる。

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予想通り「TRICK」と同系同質のTV的な笑いを軸に展開していくので、「TRICK」が可笑しくない僕には大して笑えない。全く笑えないこともないが、一番楽しめたのは江守徹によるパロディー風ナレーションである。
 映画たるものナレーションにばかり頼るのは怪しからんわけだが、映画の中にある約束事の境界線たる第四の壁を時々破ってしまうなど工夫を認めたいところがあるのだ。こんなドタバタ喜劇のナレーションを目くじら立てて批判する人の気が知れぬ。

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宇宙人に寄生させられた舞姫や忍者たちの変幻ぶりが一応見どころで、過程を別にすると忍者たちの変身にCGではなく古式ゆかしい特殊メークを使っているのは嬉しい。
 一方、黒木メイサの牡丹の活躍が少ないのは脚本に知恵が足りず、最初はひどく大きく見せる工夫をしていた源九郎が途中からさほどでなくなってくるのは手抜きと言わざるを得ない。お笑いであってもこういうところは徹底しないと駄目である。

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