映画評「茄子 スーツケースの渡り鳥」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・高坂希太郎
ネタバレあり

茄子 アンダルシアの夏」の続編に当たるビデオ映画で、主要スタッフはほぼ同じ。

今回は日本の山間部の周回コースで行われるレース模様が中心で、前作で優勝したぺぺはパオパオビールを首になっていない(笑)。舞台は栃木県宇都宮市で行われるジャパンカップ。隣県だけにどこかで見た風景が次々と出てくる。

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今回底流にあるテーマはレーサーの苦悩である。ぺぺの同僚チョッチはレーサーとしての将来が約束されていない苦悩を抱いているし、彼の同郷の出身でぺぺのアイドルでもあるマルコの自殺から物語が始まっている。マルコの自殺の理由は恐らくトップレーサーでいることの孤高な苦しみにある。
 その一方、観客にとって普遍性のあるテーマではなく、その陰湿さとバランスを取るために強調される喜劇性故に、前作のように我々の心に自転車の疾走に伴う爽やかな風が吹いては来ない。

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慣れない日本で過ごす選手たちをバックアップする少女と弟が絡んできて賑やかすのは結構だが、前回に比べて茄子漬けの意味も薄く、作品の純度に物足りないものがある。

レース模様は前回より集中的に描かれ、前回同僚を勝たせる役目を負いつつ結局自ら勝ったぺぺがチョッチをきっちりサポートするなど、自転車ファンならにやりとする展開であろう。

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