映画評「サヨナラCOLOR」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年日本映画 監督・竹中直人
ネタバレあり

これは一種のパロディーである。難病ロマンスは嫌になるほど作られているが、原作はいざ知らで、主演の竹中直人が自らメガフォンを取った映画版は難病ロマンス映画の極めて真剣なパロディーと言うべきである。
 訳の解らない題名は、<さよならから(始まる)>という意味。

ガラス工芸品を作って売っている美人・原田知世が同級生の竹中が外科医をしている病院に入院するが、彼女には彼の記憶が全くない。
 ところが、高校の3年間彼女に思いを寄せ色々みっともない経験をした彼が、嫌われるほど執拗に語り続けるうちに彼女は思い出し、彼を掛け替えのない人と思うようになっていく。

ヒロインは子宮ガンに罹っていて、竹中は初恋された人であり医者であるのだが、荒れた生活を送ってきた彼自身が肝臓を病んでいる。カップルが共に病んでいるところは先日観た韓国映画「連理の枝」と似ているが、要素を揃えただけで映画的に何の工夫もなかった同作に対して、こちらは映画的にずっと洗練されている。

車で眠っていた竹中の前をカップルが通り過ぎさせる開巻直後のカメラワーク、彼が援助交際少女と知り合った直後に彼の姿がトンネルの穴に浮び上がるショットなどの映像的魅力! 竹中直人の美的感覚には一流監督の品格がある。

韓国映画の場合は前半を喜劇、後半を悲劇と分けてしまってトーンが一定しない欠点があるが、本作は厳しい現実の間に笑いを挿むという作風が最後まで続くので、純愛というテーマをスムーズに展開し得ている。海辺の使い方も上手い。これぞ映画先進国の作品と言うべし。
 内容もぐっと大人で、お定まりの悲恋ではなく、生への歓びを謳って終了する。我々の涙は悲しみからではなく、自分の命を顧みず彼女を励まし続けた変な医師の懸命さから呼び起こされ、それに捧げられるのである。喜劇的な場面は些か悪乗りしすぎの感がありますがね。

原田知世の清楚な色気も大変良い。

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