映画評「スパルタカス」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1960年アメリカ映画 監督スタンリー・キューブリック
ネタバレあり

高校の世界史で習った記憶のある方も多いだろうが、共和政ローマを揺るがした奴隷スパルタクスの叛乱をストレートに映画化した史劇だが、監督は器用なアンソニー・マンに代わってまだ新進だったスタンリー・キューブリックが担当。ハワード・ファストの原作をドルトン・トランボが脚色。

紀元前73年、トラキア人の奴隷スパルタカス(カーク・ダグラス)がカプアの剣闘士養成所に連れて来られ、そこで後に妻となる女奴隷ヴァリニア(ジーン・シモンズ)と知り合うが、その直後仲間たちと養成所を脱走、自由を希求して叛乱を起す。後にシーザーと第一回三頭政治を行う将軍クラッスス(ローレンス・オリヴィエ)のローマ政府軍に敗北して処刑される。

叛乱は2年で終るわけだが、教科書ではたった一行で済ませられている記述もこうして観るとなかなか興味深いので世界史の授業で見せてやりたいくらい。
 叛乱が失敗に帰す直接の原因となったローマ軍の攻撃は相当見応えがあり、スペクタクル的な見どころが多いが、登場人物の交錯する部分は余り面白くない、というより深く絡み合って来ない。ほぼ同時期に作られた大作「ベン・ハー」や「エル・シド」のような劇的な魅力に欠けるのである。トランボの脚本としては些か甘いと言わざるを得ない。
 上記二作に主演したチャールトン・ヘストンとカーク・ダグラスとのスケール感の差もあるだろう。演技的にはオリヴィエが口跡が見事。

キューブリックとしては完全な頼まれ仕事だが、非人間性の告発、自由の希求といった主題に彼をして最終的に引き受けさせた理由らしきものが見出せる。
 とは言え、彼自身の「自分の作品とは言えない」という言葉が正論であり、昨今の異様に高い評価は他作特にこれ以降の作品の業績から無理矢理こじつけたものにすぎない。

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