映画評「七人の侍」

☆☆☆☆☆(10点/10点満点中)
1954年日本映画 監督・黒澤明
ネタバレあり

日本映画最高峰と言われる黒澤明の代表作。

始めて観た高校2年の時こそ満足しなかったが、それ以外はいつ観ても「素晴らしい」との感慨を漏らすことになる。

欠点はある。黒澤のくどさ、あるいはお節介焼きというべきか、鑑賞者に考えさせるべきところを台詞にしてしまっている。例えば、三船敏郎扮する百姓出身の偽侍・菊千代が本物の侍が百姓の悪口を言うのに堪え切れず百姓とはかくたるものだと叫んでしまう場面がある。侍のリーダーである勘兵衛(志村喬)は涙を流しながら「お前、百姓だな」と洩らす。黙っていたほうが余程深い味が出る場面とは言えないだろうか。
 幕切れで生き残った勘兵衛が「勝ったのは百姓だ」という台詞も「なくもがな」である。感慨は観客に任せれば良かったのだ。

といったように小さな瑕疵は色々とあるのだが、七人七様の侍の人物像の描き方には惚れ惚れさせられる。七人が集まるシークェンスが長いと言っているようでは、黒澤が本作を作った所期の狙いが全く分かっていないことになる。厳密に言えば多少は詰められるかもしれないが、最低必要限の長さであると言って差し支えないだろう。

日本映画を代表するアクション映画としての位置付けをされることもあるが、これはリアリズムに裏打ちされたドラマの秀作である。語弊はあるが、アクションが言わば味付けなのである。味付けに過ぎないアクションが映画史に残るほど素晴らしい出来栄えなので誤解を招いていると言っても過言ではない。もはや言うことなし。

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