映画評「女の中にいる他人」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1966年日本映画 監督・成瀬巳喜男
ネタバレあり

成瀬巳喜男としては珍しい心理サスペンス。原作はエドワード・エタイアの「細い線」である。

三橋達也の妻・若林映子が殺される。三橋の友人・小林桂樹は何気ない顔をして葬式に参列するが、心の中で葛藤を続けていた。実は彼が加害者で情事の悪ふざけの結果による過失致死だったのだが、良心の呵責に耐えかね、まず妻・新珠三千代に自白する。それでも心は休まらず自首を実行しようとする彼に対し妻は意外な行動を取るのである。

意外とは言っても妻の行動は【推して知るべし】であるが、忍耐と諦観を抱えて生きるいつもの成瀬スタイルとは違う終わり方である。よって「女の中にいる他人」なのである。ここの【女】は「つま」と読んだほうがふさわしく、終幕部分で女性映画的になるのが成瀬の作品らしい。
 しかし、心理サスペンスということで撮影スタイルはいつもと大分違う。コントラストを強め、クローズアップを多用、犯行場面でポラライゼーションを使用し、十分な効果を上げている。

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