映画評「天使のはらわた 赤い教室」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1979年日本映画 監督・曾根中生
ネタバレあり

にっかつロマン・ポルノの後期に当たるのだろうが、石井隆の劇画の映画化「女高生 天使のはらわた」が熱心な邦画ファンの心を掴み、シリーズ化された。しかし、今回のWOWOWのロマン・ポルノ特集では、何故か一作目は登場せず、引き続き曾根中生が監督したこの第2作から第5作迄の4本が放映された。

ポルノ雑誌の編集長?を務める村木(蟹江敬三)がブルー・フィルムに出演する美人(水原ゆう紀)を心に留める。雑誌撮影に使うことのあるモーテルの受付嬢がその女性と気づき、呼び出す。
 名美という名前の彼女は脅迫と誤解してホテルで体を与えようとするが、その気のない村木はどうもあのフィルムが実写で彼女が自棄(やけ)になっているのではないかと推量、更生を期して翌日に会おうと約する。ところが、村木は女子高生の嘘に基づく訴えで逮捕され、会えなくなる。やはりそんなことかと思った彼女は益々自棄になる。
 3年後今では不倫相手との間にできた “なみ” という名の赤ん坊の父親となっている村木が、場末の良からぬ感じのバーで彼女を発見するが、ひものような元歌手にこてんぱんにのされる。酒を飲ませる以外にも白黒ショーを見せるなどをしている彼女を、それでも、彼は救い出そうとする。しかし、強制はせず離れていく。

ハードボイルドもののムードがそこはかとなくあるが、全体の構図は典型的な没落メロドラマで、うらぶれた人しか出て来ない、19世紀後半のロシア文学のような切なさを後味として残す。

中盤の名美のヤケクソぶりを見せる濡れ場が少々長すぎるなど所謂ポルノ映画ならではの部分は寧ろ退屈だが、画面はなかなか秀逸と思う。その中で僕が印象付けられたのは以下の如し。

曾根監督は、縦方向を意識させつつ画面の真ん中に枠を設ける。開けられた障子やドア枠がそれを成す。中でも、村木と名美が最初に話をするホテルの障子⇒小さな通りを挟む両脇のビル⇒仕事場兼自宅の障子⇒事務所のドア・・・と枠を真ん中に据えたシーンをマッチカットのように連ねたところは圧巻である。
 ホテルの外が昼間から夜に変わっていくというところも良い。

うらぶれたお話のほうも悪くないが、画面で映画を見る習慣のある人は押さえておいたほうが良いかもしれない。

曾根監督は、たしか我が群馬県出身でした。

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