映画評「くれなずめ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2021年日本映画 監督・松居大悟
ネタバレあり

奇々怪々な青春(回顧)映画である。

友人の結婚式に高校の悪友たち成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹の6名が集まる。高校時代の赤フン芸を披露して顰蹙を買ったらしい彼らは、2次会までの長い時間を潰す為にカラオケするなどして、旧交を温める。

折に触れ過去に遡り、12年前(高校時代)、9年前、6年前、4年前、2年前の交流がフラッシュバックする。近年非常に多い作り方で、それだけでも少々食傷気味なのだが、彼らのやっていることが一向に面白くない。

カラオケ店での台詞や人数の問題によって小出しにされていたことが2年前のエピソードで判明する。成田凌が現在から4年前(2年前に3回忌)に心臓の病で急死していたことである。
 つまり、この映画に出て来る彼は亡霊で、それを当たり前のように友人たちが接するのがユニークなのであるが、2次会の前に、高校の清掃係としてひどく叱られた同級生・前田敦子に告白しても成仏しない。
 ここで映画は遂に彼がこの世に存在しないことを明確に示し、やがて幽霊の彼と別れた5人が、4年前の生前最後の別れにおける自分達の最後の態度から醸成された罪悪感を晴らそうとする(映画は4年前のエピソードを繰り返す)。

というお話で、2回目が最初とどこが違うのか或いは違わないのかよく解らないのだが、観客が、彼らの意識を知った後では、その言葉の一々の意味の捉え方が変わって来る筈ということを、脚本・監督の松居大悟が目指したものだろう。

しかし、まだ青年中期にある彼らが少しの昔を苦味と共に回顧するというテーマのドラマが最近多くて新鮮味がなく、加えて彼への引き出物を畑に埋めようとするシークエンスのバカ騒ぎは僕の趣味に合わない。バカ騒ぎにおけるセンチメンタリズムという感覚も解らないではないが、どうせならもっと徹底して陰々滅々にやったほうが良かったと思う。

本来命令形として使うことはありえない“くれなずむ”を命令形で使った題名は新鮮。

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