映画評「再会の夏」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2018年フランス=ベルギー合作映画 監督ジャン・ベッケル
ネタバレあり

地味ながら滋味あふれる作品を作るジャン・ベッケル監督の佳品。フランス流のコント(小話)の伝統を強く感じる。

第一次大戦後レジオン・ドヌール勲章を愛犬にかけたことで不敬罪に問われて軍の留置場に収監された元兵士モルラック(ニコラ・デョヴォシェル)を軍法会議にかけるか否かを判断する為に軍判事のランティエ少佐(フランソワ・クリュゼ)が訪れ、審問を開始する。
 なるべく穏当に済ませようとするのに本音を言わないモルラックに対し、判事は地元の軍曹を使って、彼との間に子供を設けた内妻ヴァランティーヌ(ソフィー・ヴェルベーク)について調べさせることにする。
 その結果、休暇で訪れた時に家に男がいたのをモルラックが誤解しその後彼女に会っていない事実が浮上、判事は彼女に会いに行くようにモルラックに言って不問に処す。

判事を探偵役とするちょっとしたミステリー。ミステリーと言っても犯罪などないわけだが、問題の犬を大いに話に絡めて楽しく、探偵役の判事の人情家ぶりに心温まり、実に味わい深い。
 旧作「クリクリのいた夏」(1999年)同様、気持ちよく見られ、人間が好きになれる作品だ。

配給会社も「クリクリのいた夏」を意識して邦題をつけましたかな? それ以上に、もっと古い「殺意の夏」(1983年)という作品の邦題に似ているか。

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この記事へのコメント

モカ
2021年12月03日 19:44
こんにちは。
これは多分半年ほど前に観たはずですが全く忘れていました。 
「クリクリ」を引き合いに出されてやっと思い出しましたよ。いいお話でしたがクリクリに比べると小粒ですか… あっちの方が役者が揃ってましたね。
「フランスは犬と子供が可愛い」とは初めてパリに行った時の感想ですが、フランス映画も然りですね。クリクリが観たいです。
オカピー
2021年12月04日 11:37
モカさん、こんにちは。

>いいお話でしたがクリクリに比べると小粒ですか

そう思います。
こういう映画を見ると、ドーデ辺りのコントを思い出します。コントと言うと、お笑いを想像する人が多いでしょうが、勿論、違います。モーパッサンもコントがうまい作家でしたね。

>クリクリが観たいです。

そうですね。
D-VHSというフォーマットで録ってあるはずですので観ようと思えば観られますが、普段使っていない機械なので、ちと面倒臭い。
モカ
2021年12月04日 21:53
こんばんは。

ドーデ! 懐かしい… 大昔に「水車小屋便り」を読みましたよ。
今夜のおやすみ前の一編はドーデを引っ張り出してきましょう (^.^)

この映画の原題を知りたくてリサーチした所、原作者はゴンクール賞受賞の有名作家でした。私は全く存じ上げませんでしたが…(翻訳されているのは1冊だけ?)
英米に較べると最近仏文は弱いですね。
 あ、原題は直訳すると「赤い襟」??? 何の象徴でしょう?
「赤と黒」の赤なら軍服ですけど、襟って? 誰か赤い襟の服を着ていました?
オカピー
2021年12月05日 20:47
モカさん、こんにちは。

>ドーデ! 懐かしい… 大昔に「水車小屋便り」を読みましたよ。

中学生の時、有名な「最後の授業」が入っている「月曜物語」を読みました。学校の図書室から借りて来て、期限にまで返せなかったので、受付を通さずこっそり返したという馬鹿げたことをやった小心者です。

「水車小屋だより」は大人になってから読みました。全体としてはこちらのほうが良かったかもしれません(「月曜物語」をその後再読して比較)。

>英米に較べると最近仏文は弱いですね。

音楽も1970年代まではフランスも人気ありましたが。
ダニエル・ヴィダル、ミシェル・ポルナレフ、フランソワーズ・アルディなどよくラジオで流れていました。

>あ、原題は直訳すると「赤い襟」??? 何の象徴でしょう?

なるほど。このフランス語なら解ります。
しかし、何のことかは解りませんね。昨日の邦画「花束みたいな恋をした」も意味不明でした。
モカ
2021年12月05日 22:03
こんばんは。
「水車小屋」ではなくて「風車小屋」でした。 どっちかな〜と迷って書いたのですが間違ってました。フランスは水車のイメージがありますよね。「禁じられた遊び」も確か水車小屋に十字架を集めてましたしね。

結局昨夜は小学校時代に読んだリライト物の本が見つからず、古い岩波文庫が出てきました。リライト物の方は「ちび君」も入っていますがどちらも内容は記憶にないです。
いくら子供向け再話と言っても無理があったのかもしれませんね。

フランソワーズ アルディ! 歌はともかく、ビジュアル的に大好きでした。

オカピー
2021年12月06日 20:05
モカさん、こんにちは。

>「水車小屋」ではなくて「風車小屋」でした。 

そうでしたね。僕もうっかりしました^^;

>フランソワーズ アルディ!

荒井(松任谷)由実が彼女を気に入っているようで、「さよならを教えて」から借用して「まちぶせ」を書きましたね。また初期の「私のフランソワーズ」で歌ったのは彼女のことらしいです。
モカ
2021年12月08日 23:45
ご報告
「赤い襟」の謎が解けました。仏和辞典が出てきたので調べたところ、「collier」には首飾り、首に掛ける勲章、馬や犬の首輪、とありました。もう一度ポスターを確認したらワンコが首に下げていた勲章が赤かったです。一件落着です。
英語のタイトルがカラーとなっていたので「襟」だと早合点してしまいました。

どーでもいい事ですが、「ドーデ」は今も昔も「ドーデー」と表記されていますね。
本国ではどんな位置にあるのか知りませんが日本ではほぼ忘れさられた存在でしょうかね。私の好きな苦労人のAJクローニンといい、寂しい事です。
オカピー
2021年12月09日 21:10
モカさん、こんにちは。

>「collier」には首飾り、首に掛ける勲章、馬や犬の首輪、と

英語のcollarより意味の幅が狭いようですね。
いずれにしても、勲章と首輪が同じ単語であることから成立つ題名です。

>どーでもいい事ですが、「ドーデ」は今も昔も「ドーデー」と表記されて
>苦労人のAJクローニン

あははは。モカさんもオミクロン株ならぬオカピー菌に感染しましたか⁈(笑)
僕は百科事典“ジャポニカ”の記載で憶えましたのでずっとドーデです。最初に借りた「月曜物語」の旺文社文庫版もドーデだったと思います。

クローニンは図書館に幾つもある「城砦」は来年早々にでも読みましょう。映画版を観た時から気になっていた小説です。

少年時代、角川文庫にずらりとラインアップされていた日本の石坂洋次郎とか獅子文六もすっかり過去の人ですね。