映画評「行き止まりの世界に生まれて」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督ビン・リュー
ネタバレあり

トランプ前大統領の登場で日本でも俄然知られるようになった米国北部のうらぶれた工業地帯を指すラストベルト。その中でも典型的な都市らしいイリノイ州ロックフォードに住むスケートボード仲間三人の十数年を捉えたドキュメンタリーである。

何故無名の若者たちなのにそんな芸当が出来たかと言えば、その三人の一人、中国系のビン・リューが監督をしているからである。勿論、撮り始めた頃は単なるホーム・ビデオで、最後の五年くらいが映画にしようと撮った部分である。

遊ぶ年齢を過ぎた白人のザック・マリガン君が仕事に就き、恋人ニナとの間に子供を設けるが、生活費を稼ぐ為に共働きにしたことから二人の間にすきま風が吹き、口論が絶えなくなる。それが時に嵩じて暴力に発展し、彼女は子供を連れて彼の許を去って行く。
 これを序章にし、映画は三人の父親(継父含む)たちの暴力に言及していく。彼ら三人の苦悩のベースは多くその暴力にあったのだ。

これが主たる内容であるが、ザックを含む彼らの暴力の向うに、この町のあるいはこの地方の閉塞的な経済状況、より個人的に言えば貧困を漂わせ、そこはかとなく印象を残す。

青春の記録であると共に、アメリカの社会を浮き彫りにしてなかなか鮮やかなタッチと言って良いのではないだろうか。作者自体が被写体になるというのも面白い。

しかし、内容オンリーになりがちなドキュメンタリーは、劇映画より感動させる内容ではあっても、映画的に面白いと思わせる部分が限定的になるので、同じレベルの劇映画のほうが有難い。僕は嘘を本物っぽく作る映画が好きなのだ。

本作で画面的にちょっと印象的なのは、スケートボーダーとして最も優秀なアフリカ系キアー・ジョンスンが画面向う側に走るのをカメラが追うところ。高速で移動する対象を高速で追うカメラマンがスムーズに撮るのは、メジャー映画で高度な用具を用いない限りなかなか難しいと思うのである(確信は持てず)。

今日は、ネットの不調で遅くなりました。

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