映画評「熱砂の秘密」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1943年アメリカ映画 監督ビリー・ワイルダー
ネタバレあり

TVで録画したビデオ版を持っているが、多少は画質が良い筈のプライム・ビデオで観た。30数年ぶりの再鑑賞。
 ラホス・ビロの戯曲「帝国ホテル」をベースに、1942年頃の時局要素を加えたサスペンスの秀作である。ビリー・ワイルダー初期の傑作だが、ワイルダーがお好きな方でもご覧になっていない方が多いと思う。
 僕は「ボー・ジェスト」や「四枚の羽根」といった何度か映画化された冒険ミステリー・サスペンスの類が好物ということもあって、その系列に入れて良いであろう本作も大いに楽しんだ。肌に合う、合わないというのはあるかもしれないが、基本的には非常に完成度の高い作品なので、是非ご覧あれ。

1942年の北アフリカ戦線。
 エリッヒ・フォン・シュトロハイム扮するロンメル将軍率いるドイツ軍の攻撃から逃れた英軍の戦車の中から伍長フランチョット・トーンが、ただ一人意識朦朧とした状態で、砂漠の中に孤立する、戦争で荒廃したホテルに辿り着く。
 エジプト人の亭主エイキム・タミロフとフランス人メイドのアン・バクスターのみが働いているが、精神の混乱から立ち直った伍長は前回の英国軍の攻撃で死んだ給仕になりすまし、やって来たロンメルの一行と対峙することになる。

その給仕が実はドイツのスパイだった為にトーンにとってはピンチであり、うまく対応すれば英国にとってチャンスともなる。このシチュエーションが抜群に面白いわけで、英軍捕虜が連れられてきたことからそれが倍増する。

トーンがうまく英軍将校と連絡を取った後、ロンメルが自信過剰になって将校捕虜たちに披露した戦略のうち、ロンメルが埋めたという武器等の在り処を探るところはクラシックな冒険ミステリー。実にワクワクする。
 それを探っているうちに収容所にいる弟を助けてくれというアンの嘆願を聞く代わりに彼女をものにしようとしていた少尉ペーター・ヴァン・アイクに正体がばれそうになり、空襲を利用して彼を殺すまでのアクションもドアの開閉を利用して呼吸よろしく大いに楽しめる
 アンがアイク殺しの犯人と疑われる間に武器等の在り処を掴んだトーンは無事に脱出、ロンメルの快進撃はここに止まる。数か月後少尉に昇進し意気揚々と舞い戻ったトーンは、しかし、アンの処刑を知り悄然と墓参する。

弟救出のチャンスをダメにした憎きトーンの為に死んでいくアンの立場を考えればこのまま切なく終わるのが常識的だが、萎れたままでは終わらず彼が元気よく前線に出ていく、という幕切れになっているのは、戦意高揚が重要である戦時中の作品だからである。

闘いと言えば、今日から日本シリーズ。地味な顔合わせなので、視聴率はどうなりますか? 誰が英国軍を起死回生させるフランチョット・トーンの役を果たすのか?

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