映画評「ウィンナー・ワルツ」

☆☆★(5点/10点満点中)
1934年イギリス映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり

アルフレッド・ヒッチコック監督第16作。彼の現存する作品で観ていないのは多分4本あるが、そのうちの一本。

ヒッチコック本人も全く問題にしていない、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世(エズモンド・ナイト)のデタラメ伝記映画であり、「美しき青きドナウ」のデタラメ誕生譚である。
 僕が経験浅き映画ファンだった頃「美しき青きドナウ」(1972年)という題名の映画が公開(僕が観るのは後年TVにて)され、出来栄えはさほど芳しくないものの、彼の人生を知るなら、かの作品のほうが断然正確。

どうしてデタラメになったかと言うと、シュトラウス2世をめぐる実在しないパン屋の少女レジ(ジェシー・マシューズ)と彼を音楽的に支援したいだけのスタール伯爵夫人(フェイ・コンプトン)のありもしない三角関係をロマンス映画的に見せたいが為である。
 これに絡んでくる初代ワルツ王シュトラウス1世(エドマンド・グウェン)との確執は一応史実に基づいているものの、ワルツの名曲「美しき青きドナウ」が世に出たのはこの映画のような経緯の末ではない。

誠に他愛無いラブ・コメディーで、ヒッチコックがこの手の内容に関心がないので本人がなかったことにしたい作品であるのは間違いないが、それなりに楽しい作品になっている。ショットの扱いはさすがに優れてい、特にレジが部屋を駆け出して顔がアップになる縦方向のショットは秀逸。

僕が観たプライム・ビデオ版は恐らくアスペクト比が正確でなく、横に少し引き延ばされている為、登場人物が少し肥満しているように見えるので、プライム・ビデオでご覧になる方は要注意。

見るチャンスの極めて少ない作品と思っていたが。

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