映画評「恋するマドリ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・大九明子
ネタバレあり

僕がひそかに注目している大九明子監督の長編デビュー作。

美大の女子学生・新垣結衣が姉の結婚で二人暮らしだった住居から出て独りアパートで暮らし始める。忘れ物を取りに元の家に行くと、インドへ行く前の仮住まいと称する女性建築士・菊地凛子が待っていて、家具調具をめぐって意気投合、頻繁に遊びに行くことになる。
 そのアパートの1階上には変人の青年・松田龍平が住んでいるが、彼女が怪我を負った同級生の代りにやることになった仕事が何と、電界発光の研究者・松田を手伝うことである。彼には黙って出て行った恋人らしき女性がい、凛子嬢には黙って出てきてしまったという恋人らしき男性がいる。自分の前の住人が凛子嬢と知った結衣嬢は、二人が互いの恋人同士と気づいてしまう。
 松田君に憎からぬ感情を覚えた彼女は、しかし、どちらも好きなので、二人が元の鞘に収まるように、涙をこらえて奮闘する。

大九監督の恋愛映画には軽み(ポップであれば軽みが出るというものではない)があるのが良い。本作など一種のアイドル映画であろうが、アイドル映画にありがちな変な粘っこさががなく、女性への憧れと男性への恋心の狭間で揺れるヒロインを実にあっさりと扱う。

お話は偶然の連続。二人の女性が引っ越すのが互いの元の家(部屋)であり、バイト先の上司が1階上の住人であり、別々に仲が良くなった男女が訳ありの元恋人同士。偶然の積み重ねで、いい大人がまともには相手にできないような他愛ない作品ながら、軽みのおかげで、案外抵抗なく観られる。

大九監督には、ヒロインが恋の仲介役をするジェーン・オースティンの「エマ」辺りが頭の片隅にあったろうか? 「エマ」と違って恋した男性の仲介役とはちょっと切なくなるが、その健気さが爽快な後味に繋がっていると思う次第。
 そして、後半のドタバタ追いかけや空港での騒動がそれほど暑苦しくならないのは、本作を初主演とする新垣結衣のあっさりとしたムードのおかげである。

大九明子監督シリーズを隔日に発表しちょります。

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