映画評「グッバイ、リチャード!」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督ウェイン・ロバーツ
ネタバレあり

ジョニー・デップ扮する文学教授リチャードが末期の肺ガンに冒されていると知らされる。
 大学長と浮気をしていると彫刻家の妻ローズマリー・デウィットが告げても、高校生くらいの娘オデッサ・ヤングが同性愛をカミングアウトしても、余命の少ないこと以上に恐ろしいものはないとばかりに達観し、夫婦で互いに不倫を認め合ったり、授業中に学生を交えて酒やドラッグの饗宴をしたり、勝手し放題。
 しかるに、さすがに病魔が手を抜かなくなると、学長のパーティーの席で真相を告白、娘にも話して、犬と共に家を去っていく。

というお話で、中盤までの教授の無軌道ぶりが頗る喜劇的で、その役にジョニー・デップを得た効果が良く出ている。
 が、映画論的には、その役にふさわしすぎる役者を配することの功罪を考えてみたくなる。デップの良さがよく出ている反面、逆にそれが映画の面白味を限定してしまってはいないかということである。その逆の例としてアーノルド・シュワルツェネッガーを起用しながら全くアクションを演じさせなかった「マギー」という興味深い例がある。シュワちゃんの無駄遣いという意見もあったが、それは余りに単細胞的な考えで、彼を使いながらアクションをさせない肩透かし(実際にはそれ以上の効果)に面白味があったのである。

閑話休題。
 ガンを素材にしながらコミカルに作った点は大いに認むべし。これで陰々と作られたら余りに当たり前すぎて映画を見る楽しみがないわけで、ガン患者のことを思っていないという意見は非映画的であると僕は考える。

とは言え、かく言う僕も、本作が大いに楽しめたとは言いにくい。最初に述べたデップのキャラクター故の問題に加えて、終盤が病気ものらしいしゅんとする展開になり、犬を連れて車で何処かへ行く幕切れを含めて、ひねりがいま一つ足りない気がする。
 しかし、僕はこういうタッチの作品は決して嫌いではないのだ。

つまらないと感じる映画を見た時は、何故つまらないかをよーく考える。少なくとも自分の趣味に合わないからで終わらせてはいけない。そうすれば、お金の無駄遣いはともかく、さほど時間の無駄と感じなくて済むはずである。

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