映画評「ビューティフル・ボーイ」(2018年)

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン
ネタバレあり

デーヴィッド・シェフとニック・シェフの親子が別々に書いた自伝を合体させ、フェリックス・ヴァン・フルーニンゲンが映画化したドラマ。最近流行気味のドラッグ依存症を主題にしたものである。欧米で問題となる薬は、マフィアが扱うもの以外に色々あり、近年は医療用が映画のテーマになることが多い。

因みに、デーヴィッド・シェフはジョン・レノンの最後のインタビューを行ったジャーナリストで、ジョン・レノンの名曲から題名を拝借したのはその絡みでもあろう。息子は現在脚本家らしい。

ニック・シェフ(少年後期:ティモシー・シャラメ)は優秀な少年だったが、いつの間にかドラッグに溺れることになる。父親デーヴィッド(スティーヴ・カレル)と離婚して親権を持つヴィッキー(エイミー・ライアン)との間を往復し、父親が再婚した相手カレン(モーラ・ティアニー)やその子供たちとも非常に仲が良い。
 しかし、両親が探した施設に落ち着くことができず、何度もその禁を破る。父親は、家に戻りたいとすがる息子を突き放すという形で愛情を示したりもする。

ニック(1982年生まれ)は8年間ドラッグを断っているという字幕が出るところを見ると、この映画の後も完全には断てなかったということになる。

最後の字幕を見るとまるで薬禍撲滅キャンペーン映画のようで味気ない気がしてくるが、映画の主眼は寧ろ麻薬禍を通して親の愛情を見せるところにあるように思われる。
 しかし、その愛情が時に型を押し付けることになって子供には負担にな(って悪循環に陥)ることが多いのもまた事実で、ニック君もそれらしきことを言っております。映画は遠回しに暗示するだけで具体的には何も示さないが、親が求める優等生であることに疲れて薬に手を出したというのが実際のところだろう。

ドラッグの類は、通常は興味を持たなければそれで済む。興味という最初の欲望を抑えられれば、後に起こるもっと強い欲とも無縁なわけである。一度経験すると、並大抵の意志では止められないというのが実際と聞く。僕は意志が相当強いと自負する(チャドクガの毒に触れたことがあるが、悪夢のようなその痒さに見事に耐えた。その痒さは蚊の数百倍と表現しても良いくらいだ)が、いざその段階になれば大丈夫とは言い切れない。

映画技術的には、時系列をもっとすっきりさせたほうが良いし、少年が個人的事情で父親宅を訪れることの繰り返しがくどい感じがするという難点がある一方、カレルとシャメルの好演が目を引く。

因みに、映画の中で紹介される「ビューティフル・ボーイ」はアウトテイクのほう。というのも、公式版は最後の呼びかけが具体的に“ショーン”で、アウトテイクは”ボーイ”になっている為。

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この記事へのコメント

vivajiji
2021年10月25日 08:56
意志薄弱な点では誰にも負けない私です(^^)
プロフェッサーの我慢強さの逸話から、
「掻いてはいけないと言われたら、絶対に僕は
掻かない!」と断言した同級生を彷彿。
蚊の百倍痒いチャドクガと聞いただけでもうすでに
この柔肌がムズムズざわざわして参ります。(ーー);

プライムで観ました。
親の期待うんぬん等、わかるのですが
酒害薬害関連過激映画、長年観てきた身には
わさびの効いてない寿司、サビがどこだったか
わからん歌のような本作と感じました。
とにかくビートルズ「ビューティフル・ボーイ」♪
なんと美しい曲でしょうか。
オカピー
2021年10月25日 13:40
vivajijiさん、こんにちは。

>意志薄弱な点では誰にも負けない私です(^^)

あははは!
そういうのも良いですね。

>「掻いてはいけないと言われたら、絶対に僕は掻かない!」と断言した同級生を彷彿。

おおっ、似たような人がいる!
チャドクガは掻くと毒針が散らばって、もっと悲惨なことになります。
掻かなくても風呂に入った時に針が散らばって両腕が発疹だらけになりました。蚊のように30分くらいで消えるわけではない(1週間くらいは続く)し、あれはきついですよ。チャドクガが好きなツバキの類のそばには近寄らないのが賢明です。
北海道にツバキはありますか?

>わさびの効いてない寿司、サビがどこだったかわからん歌のような本作

悲惨なところを敢えて避けていたような感じですから、そういう印象が確かにあります。

>「ビューティフル・ボーイ」♪
>なんと美しい曲でしょうか。

そうですねえ。素晴らしい曲!