映画評「ダウントン・アビー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年イギリス=アメリカ合作映画 監督マイケル・エングラー
ネタバレあり

洋の東西を問わず、TVドラマは小学生以来まともに観たことがないので、TVシリーズ「ダウントン・アビー」は勿論観ていない。辛うじて題名を知っている程度。この間英国の不動産相続に関連してコメント欄で言及されてはいたし、2時間前後の映画版なら良かろうと、後学の為にも見ることにした。
 それとは別に、昨今の単発TV映画を観ていると、劇場用映画が情ないこともあって、侮れないことが多く、今後は少し軌道修正が必要かもしれない。

本作はシリーズ完了後の物語らしいが、初めて観る人間にとって厳しいのは、人物の相関関係が殆ど解らないこと。まして僕のように映像記憶が悪い人間には、途中でパプで同性愛容疑で拘留されるのは誰だったかいな、ということになる。映画界のお馴染みが多く出ている作品の利点は、こういう理解阻害が避けられるところにある。

ダウントン・アビーというのは英国のグランサム伯爵クローリーの所有する邸宅の名称。舞台は1927年で、当時の君主ジョージ5世と王妃メアリーが当家を訪れることになる。
 その騒動を軸に色々な群像劇が繰り広げられることになるのだが、その中でクローリー老夫人(マギー・スミス)と姻族のバッグショー夫人(イメルダ・スタウントン)の確執が最重要の挿話を形成する。バッグショー夫人がメイドと称している実の娘ルーシー(タペンス・ミドルトン)を相続人とすると宣言したのに対し、余命少ない老夫人は今は亡き孫娘の婿トム(アレン・リーチ)に継がせたい。

殺人の出て来ないアガサ・クリスティーもののような印象もあるが、トムはルーシーとそれなりの縁が出来ているので、製作が決定したらしい続編でどうなるかということになりそうだ。

出番の時間以上に、邸宅維持に苦労を感じる伯爵の長女メアリー(ミシェル・ドッカリー)がドラマの重心を成しているように思うし、本当の主題は邸宅維持の問題であろう。

王夫妻ご来宅の騒動では、伯爵の奉公人が王側の奉公人とが、まるでアメリカ映画におけるFBIと地元警察の主導権争い、日本刑事ドラマにおけるキャリアと所轄刑事の争いのような騒ぎを起こすところが可笑しい。まあキャリア側のシェフが閉じ込められるのが言わば “事件” でした。

技術的な分析では、ゆったりとカメラ移動する長回しが多い反面、場面の切り替えが多い。つまり、ワンカット・ワンシーンとは言わないまでも、それに近い状態が特に序盤で目立つ。些か居心地悪いリズムで、この感覚は余り好かない。
 部分的には確かに面白いが、TVシリーズを観ていない人間には面白がり切れないところがあって上記の☆★にした。

【Yahoo!映画】の評判が妙に良い。シリーズを見ていた人が多いのかな?

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この記事へのコメント

モカ
2021年10月20日 16:36
こんにちは。
TVシリーズはしっかり観てしまいましたが、この映画版は面白くなかったですね。
TVドラマの人気にあやかってもう一山当てようという魂胆がみえみえの無理のある展開で白けてしまいました。
場面の切り替えの多さですが、TVの時には上の階と下の階をテンポ良く切り替えて退屈させない所がアメリカでも人気ドラマになった一因かもしれません。
TV版で1番ツボだったのはマギー・スミスとペネロープ・ウィルトンのそれぞれの階級のプライドをかけた丁々発止のやり取りでした。ギリギリセーフ(品を損ねないレベル)の皮肉を込めた会話がイギリス的で毎回笑わせてもらいました。
オカピー
2021年10月20日 22:03
モカさん、こんにちは。

>TVシリーズはしっかり観てしまいましたが、この映画版は面白くなかったですね。

あはは、そうですか^^
僕が比較するものは他の映画しかありませんが、この程度では水準だなあ。

>TVの時には上の階と下の階をテンポ良く切り替えて

映画版の話ですが、ゆったりカメラが移動するのに、場面転換は早いので、ショットのスピード感と場面の感覚がスピード感が合わず、何だか落ち着かなったですよ。