映画評「キーパー ある兵士の奇跡」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年イギリス=ドイツ合作映画 監督マルクス・H・ローゼンミュラー
ネタバレあり

野球選手であれば自分の生まれる前の大リーガーもある程度は知っているが、サッカー選手は全く解らない。サッカー・ファンであれば、本作の主人公をきっと知っている筈で、門外漢の僕とは違う興味をもって観たことであろう。

戦争が終わってもまだ英国の捕虜収容所から出して貰えないドイツ軍捕虜たちがサッカーに興じる。そのうちゴール・キーパーとして素晴らしい能力を発揮したバーンハート・トラウトマン(ダフィット・クロス)が、近所のサッカー球団監督ジャック・フライアー(ジョン・ヘンショー)に抜擢される。
 1948年漸く訪れた送還を断ってチームの為に奮闘、最初は敵兵として嫌っていたその娘マーガレット(フレイア・メイヴァー)と結ばれる。
 1949年マンチェスター・シティFCにスカウトされて入団。ドイツ出身である為に地元の人々から総スカンを喰らう状態にチーム関係者も本人も悩まされるが、当然反ナチの立場であり地元の権威でもあるユダヤ教のラビから人間として問題がないのであれば迎える旨の発表があったのを契機に、その素晴らしいセーブ力をもって、一気にファンの心を掴むのである。

と、ここまでは、種から個を判断することの不条理という重要な問題を絡めながらも型通りのお話にすぎないが、ここからトラウトマン個人の苦悩が絡んできてお話に深みが出て来る。
 彼が負傷により入院中に5歳の息子を交通事故で失い、戦時中に同輩がサッカーボールを取りに来た少年を背後から撃ち殺すのを止めなかったことへの罪悪感と重ね、自分の罪の為に息子を死なせたと苦悩するのである。
 少年を何度か画面に出すのが些かくどい感じがなきにしもあらずも、戦争が一人の人間に残す傷も扱って印象に残る作品になった。

映画は、二人の間に別に二人の息子が誕生したとだけ字幕を出すが、劇中でも示されるようにこの事故によって夫婦の間に感情のすれ違いが生じて、結局1960年代に離婚したそうである。それをはっきり示してしまうと、夫婦愛の物語としての側面が台無しになってしまうので、敢えて字幕に出さなかったのだろう。

サッカー・ワールド杯の最終予選に日本が苦しんでいる。野球人気復活の為に日本が敗退したほうが良いような気もするが、この間の豪州戦の勝利は嬉しかったね・・・うーむ、複雑な心境だ。因みに、次のWBCは2023年になりそう。

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