映画評「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」

☆☆★(5点/10点満点中)
2020年アメリカ映画 監督エイプリル・ライト
ネタバレあり

映画の縁の下の力持ちを扱ったドキュメンタリー第二弾。

前回の音響関係者と違って画面には出て来るが、ある意味俳優の下に隠れてしまうかもしれないスタントマン、スタントウーマンの扱う。それも今回はスタントウーマンに絞っているので、自ずとフェミニズムっぽい作品となっている。
 しかし、「ようこそ映画音響の世界へ」が終盤で、画面を見れば解るのに敢えて “音響の世界では実は女性も頑張っているのよ” という、言わずもがなの発言を入れたのよりは却って素直と言っても良いだろうか?

最初はサイレント時代のスタントウーマンたちの活躍が紹介される。この時代は俳優とスタントの差が余りなくてスラップスティック・コメディーの面々は皆自分でやっていたし、逆にスタントウーマンが出演できなくなった女優の代りにシリーズに出演したという例も紹介されている。

ところが、トーキー化された後映画界ではスタントウーマンを使わない時代が続く。僕の実経験として、1974年の「空手アマゾネス」という、クンフー映画とアマゾネス・ブームに便乗したお安い映画を観た時、肌も露わなスタントが明らかに男性だったのに相当がっかりした記憶がある。

その門戸が女性に開放されるのは、1975年からのTVシリーズ「ワンダーウーマン」や76年からの「地上最強の美女たち!チャーリーズ・エンジェル」によってである。「ワンダーウーマン」のリンダ・カーターのスタントをやったジーニー・エッパーがスタントウーマンの先駆者だ。
 字幕では後者が「地上最強の美女たち!」として紹介されるのでちょいとピンと来なかったですぞ。

序盤のうち楽しそうに語っている証言者たち(勿論殆どがスタントウーマン)のトーンが急に下がる。仲間の死亡事故や再起不能の大事故を語る時である。自分の怪我ではかなりあっけらかんとしていても、さすがに同業者の不帰ともなると事情が違う。
 本作はこのシークエンスの前に “恐れては良いスタントはできない” という一連のコメントを流すのだが、効果的な構成の為には寧ろ後にすべきだったと思う。

そして、お約束の男女差別の問題へと続くのだが、最近この職種も改善されてきたらしい。今世紀に入り女性が活躍するアクションが増えたので、必然的に彼女らの活躍する場が増えたということもあろう。外部者の極めて個人的で楽観的な想像にすぎないが、スタントウーマンが増えれば必然的に女性のアクション監督も増えていくだろう。

インタビュー・ドキュメンタリーとしてそう面白いとは言いにくい。しかし、彼女たちの大怪我をした時に関する証言などが実際の画面に出て来るところは、この職種ならではのメリットが発揮され、効果的だ。

現在80歳になろうとしているジーニー・エッパーが過去を振り返って弱気になっていると、後輩が慰める。ヒーローと言えば、大学に甲斐よしひろという、甲斐バンドのボーカルと同姓同名のクラスメートがいた。漢字は忘れた。

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