映画評「野球少女」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年韓国映画 監督チェ・ユンテ
ネタバレあり

この題名の韓国映画は、普通の枠であれば観なかった可能性があるが、【W座からの招待状】で取り上げられる作品だから観た。尤も、野球が絡む映画は大概観るので、普通の枠でも観たかもしれない。

珍しくも高校の野球部に投手として所属する少女チュ・スイン(イ・ジュヨン)は、女子としては例外的な130km/h超の剛速球(女子プロの平均が110km/hだから、男子なら170km/hくらいに相当するか?)を投げるが、本当のプロ野球を目指しているので、もっと球速を増そうとしている。
 そこへ新規に野球部コーチとして独立リーグの元投手チェ・ジンテ(イ・ジュニョク)が加わる。最初は鼻もひっかけないが、彼女の奮闘ぶりに“長所を出すようにしろ”と言い、ナックルを磨いて回転力のある速球との緩急を長所とするようアドバイスする。
 彼女にとっての壁は男女の体力差だけではなく、現実主義的で経済に固執する母親(ヨム・ヘラン)である。
 チェの努力により独立リーグでの腕試しを経てプロ野球チームのトライアウトに参加し、目を見張るような成績を残す。やがて球団から連絡が来るが、その契約内容は女子野球絡みの事務局での仕事。選手でなければ意味を成さない彼女は断固拒否して去っていく。
 が、その言葉に動かされた球団社長が、トライアウトの映像を見、選手としての契約書を用意するのである。

サクセス・ストーリーの青春スポーツ映画としてなかなか見応えあり。フェミニズム映画に類する作品でもあるが、目標に向けて色々と工夫・努力して達成する姿に、それ以上の普遍的な感動性がある。

しかも、この映画には、喜劇色とシリアス性/悲劇性との振幅で勝負したがる韓国大衆映画の悪弊・悪癖が毫も見られない。韓国映画でも純文学映画では当然そういう悪弊はないわけだが、大衆映画と言って良い本作にそれがないこと自体に僕は思わず感動してしまった。これが本来の映画先進国の洗練度と言うべきで、早くこれが当たり前になるように僕は祈る。潜在力では日本映画を上回り、トーンの一貫性など一切気にしない輩からは既に高く評価されている韓国映画もこれを実現すれば、真に映画先進国になると思う。頑張れ! 

ヒロインを演じたイ・ジュヨンの投球フォームはそれほど良いと思わないが、ナックルを投げるならあのフォームでも可である。同じフォームで速球とナックルを投げ分けられないとプロ野球と言わず高い次元の野球にはならないが、ナックルは変化が一定しないのでナックルを投げて来ると解っていてもそう簡単には打てないというのも事実。

野球と言えば、日本チームが念願の五輪での金を獲得した(だから順番を変えて本稿を今日アップしたのだが)。野球ファンの僕は感涙に咽た。商業五輪である以上、MLBが重い腰を上げない限り、日本開催以外では客を呼べないため野球は五輪に永久に再採用されない可能性が高い。従って、今回の五輪中止を訴えた人は、野球ファンの敵です。今回中止して2032年にでもやったら良いと意見もあったが、五輪関係者は今回IOCに逆らって中止にしたら二度と日本に五輪が冬季を含めて来ることはないと断言していた。大人の事情でありますよ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

浅野佑都
2021年08月09日 09:18
 コロナ禍下でも普段と変わらず、劇場とネットで年間120本前後を観ますが、普段、指定監督(韓国映画四天王)作品以外、ほとんど観ることのない韓国映画の中では断トツによかったですね!
韓国人より小柄な日本人女性が最も苦手であるはずのバスケットでメダルを取れたように、彼らにもやればできるじゃないですか?

>ヒロインを演じたイ・ジュヨンの投球フォーム

バッティングはともかく、ピッチングフォームはたとえアスリートであっても、素人が付け焼刃で何とかなるものではないですからね(笑)
プロの投手でも、巨人の水野なんかは外野手が投げてるようでお世辞にも良いフォームとは言えなかった・・。
プロ野球の開幕試合で、ハンマー投げの室伏広治
が投げた時は、ほとんど上体だけの手投げでなんとも不格好でしたが、それでも球速は130を超えていてコントロールも良くて驚きました。


>五輪関係者は今回IOCに逆らって中止にしたら二度と日本に五輪が冬季を含めて来ることはないと断言していた。

結局、オリンピック開催中、反対派が強弁したようなコロナによる重傷者が拡大することも多くの死者を出すこともなかった・・。
また、日本医師会、尾身氏など高収入の医師たちに、リスクをかけて日本人を救う気がまるで無いことは、コロナ患者の男性が病院100件から断られた”事件”で赤裸々になりました・・。
日本人は、彼らの言動に踊らされるよりも、睡眠と栄養を取って自己免疫力を高めるほうが余程良いのでは?

今朝のトップニュースで、僕らになじみ深い英国の陸上選手だったセバスチャン・コー氏(世界陸連の会長なんですね‼)が、4年後の世界陸上をTOKYOに招致、という鶴の恩返しならぬ「コーの恩返し」をしたいと(笑)

91年の東京で行われた世界陸上男子走り幅跳びでは、カール・ルイスとマイケル・パウエルの死闘がありました。実現すれば日本中が沸くでしょうね。
織田裕二がまた、ウォーミング・アップを始めるのか、と思うとげんなりしますが、そのころには僕もスマートテレビを買って、ネット配信で大画面で観ることにしましょう(笑)

今回、陸上はアメリカの凋落と、男子100メートルのイタリア優勝などに象徴される無名選手の活躍、日本人を含めた若い力の台頭が凄まじかった。
また、難民などの経験を持つ選手の活躍が目立ちましたね。
アメリカはトラック種目では最終日の1600mリレーまで金メダルがゼロ。

男女400mハードルや女子三段跳びでは、驚異的な世界記録が出ました。

4年後はアメリカも強化してくるでしょうし、ノルウェーなどEU諸国も強い!
日本も男子走り幅跳び、3000メートル障害、女子1500と3000メートルは間違いなくメダル争いに加わってくれるでしょう!
短距離は期待薄かな(笑)
オカピー
2021年08月09日 22:26
浅野佑都さん、こんにちは。

>ハンマー投げの室伏広治

やり投げのゼレズニーが大リーグのテストを受けてやはり130Km/hを軽く超えて話題になりましたね。きちんと訓練すれば150以上出たでしょう。
逆に言うと、剛速球投手は訓練すれば、やり投げの世界記録を出せるかもしれない。

>オリンピック・・・コロナ

今日の新聞を読んでも、五輪で拡大したか否か検証する必要があるという記事がありましたが、デルタ株がこれだけ蔓延してしまっては検証のしようもないでしょう。
 東京新聞の調べでは、人流はオリンピック前後で増えも減りもしないという結論でした。
 オリンピック関係者400人の陽性で、陽性率は0,4%。選手に限ってはもっと低い。東京都民の陽性率20%と比べて50分の1で、拡大に全く関与していないことは明白。
 まして彼らが自由にマスクもしないで外で行動しているわけではない。一部でマスクをしないとか、外食したとか言われていますが、彼らは陽性ではないですから。ルールを守らないという問題はありますが、それを言ったら日本人だってしない人はいる。

>日本医師会

少なくともワクチン接種(のスタート)の遅れは(必要のなかった)日本人治験という名目で金儲けを企んだ彼らのせいです。接種する人員も彼らの反対で未だに薬剤師はできないはず。
 7月にワクチンが足りなくなるという問題が出ましたが、あれは政府のコントロール・ミスですね。オリンピックのおかげでファイザーのワクチンが予定どおり(予定の1/3に終ったモデルナとの比較で言えば、予想以上に)入って来たという事実を誰も語らない。これで助かることになる人は相当いるのではないですか?

>セバスチャン・コー氏

懐かしいですねえ。僕らが観たのはロサンゼルス・オリンピックですかねえ。
女子3000mでゾーラ・バッドのせいで優勝候補メアリー・デッカーが倒れたのも思い出しますね。昔のことはよく憶えています(苦笑)

>陸上はアメリカの凋落と、男子100メートルのイタリア優勝

リレーで頑張ったポーランドの活躍も印象的でした。
コロナの影響なのか、今回勢力図がぐっと変わった印象ですね。