映画評「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1985年日本映画 監督・森崎東
ネタバレあり

森崎東監督シリーズ第2弾。雷雨によりうまく録画できなかったので、WOWOWの配信による鑑賞(初トライ)。
 昨日の「喜劇 女は男のふるさとヨ」の焼き直し、少なくとも全く似た要素・構図のお話である。

どさ回りストリッパーのバーバラ(倍賞美津子)が名古屋の家に戻って来る。妹分アイコ(上原由恵)は原発のある美浜の実家に出かけたと言われる。早速追いかけて美浜に行くと、彼女は原発絡みで問題があった恋人の葬式をしているらしい。
 彼女の妹?(竹本幸恵)が非行仲間二人と意趣返しで拉致した高校教師・野呂(平田満)がバーバラのヒモのような存在になって同行すると、やがてアイコが埋めた恋人(泉谷しげる)を掘り返す現場に遭遇。原発で働く人々の死を巡る証人という重要人物で、原発作業者相手の娼婦をしていた彼女の足抜けに手伝ったバーバラの知人・宮里(原田芳雄)と共に、ヤクザや警察に付け狙われている。
 これにフィリピン人の風俗嬢も絡み、案の定アイコたちは道行の途中で死に、舞台は再び名古屋に戻る。ここで乗り込んできたヤクザを射殺した宮里を警察が追及し、撃ち合いになって宮里は死ぬ。バーバラは不法滞在になって送還されるフィリピン女性を見送る。

森崎作品はアナーキズムが基調にあるが、本作をこれ以前の作品に比べてぐっとストレートに反体制的である。
 底辺女性の悲哀としたたかさといういつも通りのモチーフに、チェルノブイリ原発事故以前に早くも原発問題を大きく提示しているのは実に先見の明がある。
 出稼ぎ外国人風俗嬢(じゃぱゆきさん)の問題も提示され、社会派映画の側面も濃厚。泉谷しげるを掘り返す場面のお惚けなど野趣満点にしてバイタリティー溢れる作品となっている。

泉谷、原田芳雄、殿山泰司という反体制的なムードを醸成する男優の顔ぶれも面白い。

しかるに、場面の繋ぎは事前の環境描写が希薄で不得要領、結果的に解りにくいところが多くなったのは残念。いつの間にか名古屋であったり、美浜であったりする。アイコが死ぬ場面も具体性を欠いてよく解らないし、殿山の船で逃げたと思ったフィリピン女性が次のショットで送還になっているのも(殿山のヘマ自体は確認できるものの)ちょっと字足らずと言うべし。
 映画技術的には不満を覚える映画であるが、前述通り下層でうごめく人々を描く馬力を買って、★は多めにする。

社会人になってさほど経っていない頃題名が面白いので観たいと思っていたが、あれからもう35年も経っていたのだ。

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