映画評「喜劇 女は男のふるさとヨ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1971年日本映画 監督・森崎東
ネタバレあり

森崎東監督の「喜劇」シリーズ(?)を観るのはこれで三本目である。脚本は、年下だが映画界では先輩に当たる山田洋次と共同で書いている。山田が加わっていることもあって、「男はつらいよ」と共通する要素も少なくないが、落語的な山田と違って森崎監督のタッチは漫才的でぐっとアナーキーである。個人的な好悪では山田演出には及ばないと予め言っておきます。

新宿芸能社というストリッパー(ヌードダンサー)置屋(?)を経営している森繁久彌と中村メイ子の夫婦。3名ほどのダンサーを抱えているが、巡業ストリップに出ていた“娘” の一人・倍賞美津子が帰って来る。彼女には結婚願望がある一方で、再び旅に出て”冬になるので南に向かう”と言って来る。
 それと入れ替わるように、彼女の紹介で泣きっ面顔の少女・緑魔子が置屋に加わることになり、様々な小事件を引き起こす。例えば、受験に失敗した少年とのアオカン容疑での拘留。これに怒ったメイ子母さんが警察に文句を言いに行く。
 片や、美津子嬢は東北で知り合った青年・河原崎長一郎を運転手に南下し、やがて彼が彼女にキャンピングカーを買う為になけなしの貯金から散財したことを知り、惚れ込んで結婚することを決意、再び東京へ戻る。ところが、彼にはかなりの財産があり、離婚寸前とは言え妻と子供があると知った彼女はすぐに旅に出てしまう。
 再び入れ替わるように、魔子ちゃんが近所の老人・伴順三郎との年の差50歳の結婚が成立する。

貧しい生まれの女性の結婚話が主題であり、一見無関係の色々なエピソードはあってもそれらは主題の展開を邪魔しない。全体構成は恐らく山田洋次の担当で、彷徨して時に家に戻って来るヒロインの女寅さんぶりやそれに応じて見せる幕切れの扱いなども露骨なばかりに山田色が出ていてニヤニヤさせる。
 反面、うらぶれたストリップ場や置屋周辺の下卑た感じの描出は恐らく森崎監督の守備範囲で、些か猥雑すぎてちょっと辟易させるところもないではないが、山田洋次にはないハードボイルドな切り口は魅力的と言うべし。

本作もまた男性的感覚で女性を尊ぶ内容で、フェミニズム映画のそれとは全く違っても、女性が虐げられる映画を観るよりはずっと良いだろう。

細かなところでは、鹿児島で出て行った河原崎が忘れ物を取りに戻って来る雨の場面と、回想による緑魔子が若者に寄り添うショットが画面的に秀逸。

雨と言えば、水道管の水漏れに気付く。今夏は碌でもない。

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