映画評「太陽は動かない」

☆☆★(5点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・羽住英一郎
ネタバレあり

どちらかと言えば純文学作家である吉田修一の同名小説の映画化。映画化されたものは大衆的サスペンスであり、原作も純文学ではなさそうである。
 しかし、この映画も例によって日本のサスペンス映画の悪い癖が出てサスペンスの純度が低く、余り面白くない。佐藤浩市が同じようにサポートの位置で出て来る「サイレント・トーキョー」と似た欠点で幻滅させられたと言うに尽きる。
 寧ろWikipediaで確認できる小説の梗概通りに作った方がサスペンスとしては面白くなった可能性が高い。

通信社を名乗っているAN通信の実態は産業スパイ組織。日本での指令を司るのは風間(佐藤浩市)で、実戦部隊は鷹野一彦(藤原竜也)と田岡亮一(竹内涼真)の二人。現在は、太陽光エネルギー関連の優れた頭脳を巡る争奪戦で、それに絡んでくるのが謎の日本女性?AYAKO(ハン・ヒョジョ)と韓国人スパイのデイビッド・キム(ピョン・ヨハン)。その裏で蠢くのが香港の悪徳実業家ウォンらである。

まあ昔の「キイハンター」を大掛かりにぐっと現在的にしたものと思えば、当らずと雖も遠からず、である。

この映画の何がダメかと言って、特に後半サスペンスとして狙いがはっきりして来て "面白くなりそうだぞ" と思ったところで、主人公たちが親に虐待された子供たちの成長した姿であり、この世に存在しない人物となっているという設定についてくどくどと説明することである。Allcinemaで現在一番最後の投稿者に全く賛同する。
 24時間ごとに解除しないと心臓近くに収められた小爆弾が爆発するという仕組みも、サスペンス醸成よりくどさに貢献するという感じ。Wikipediaで梗概を読む限り、小説には彼らの過去は全く絡んで来ない(但し、続編に高校時代の話が出て来るらしい)。過去を絡めるなら時系列通りに作った方が明らかにすっきり見られる。時系列を崩せば面白くなると思うのは思い込みで、この手の話では特にマイナスにしかならない。

「キイハンター」と言えば、千葉真一がコロナで亡くなった。ある程度の年齢とは言え、コロナで有名人が死ぬのは何だか切ない。

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