映画評「スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年フランス=ベルギー合作映画 監督エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
ネタバレあり

サブタイトルが良くない。長いだけでなく実に散文的で、まるでTVの単発ドラマみたいだ。一般の人は配給会社を責めることが多いが、そこには観客の民度が関係しているわけで、配給会社ばかりを責めるのは正しくない。

重度の自閉症の人々を介護する “正義の声” という団体がある。営んでいるのはユダヤ教徒のヴァンサン・カッセルである。それを支援しているのが落ちこぼれた種々雑多の若者たちを社会復帰させる団体 “寄港” で、経営するのはイスラム教徒のレダ・カテブである。
 ところが、行政が “正義の声” が無認可であることを理由に閉鎖しようと調査に乗り出す。これにカッセルやカテブが抗う。

というのが骨格となるお話で、二人が抗うというより、介護者たちの大変な努力を見る我々観客と同じように、調査官たちも重度の自閉症者の行き場所のない現実を知るに及んで、閉鎖を諦めるのである。

まあフランスが精神的な先進国であるから成立つようなところがあるお話で、一度決めたことはなかなか変えられない日本で同じようなことが起きた時こういう結果になるか甚だ疑問である。

邦題のサブタイトルに "実話" とあるが、主人公二人の名前は実際とは違う。僕は主要人物の名前を実際から変えたものは実話とは認めない。実話をベースにした物語と言うべきである。

監督はエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュの二人組で、大いに話題になった「最強のふたり」(2011年)と同じく、弱者をモチーフにした一種のバディものを構成しているが、あの作品ほど映画的な工夫がなく、大いに考えさせられるものがあるとは言え、映画的に少し落ちると言わざるを得ない。

本で言えば小説ではなく、実用書を読んでいるような感じで、少々味気ないのでござる。

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