映画評「悪魔スヴェンガリ」

☆☆★(5点/10点満点中)
1931年アメリカ映画 監督アーチー・メイヨ
ネタバレあり

ダフネ・デュ・モーリアの祖父ジョージ・ルイ・デュ・モーリアの小説「トリルビー」の何度目かの映画化。映画の誕生と共に作られた人気作で、トーキーではこれが初めてと思う。戦後では「魔人スヴァンガリ」(1954年)という邦題になった作品が我が邦にも紹介されている。

音楽家スヴェンガリ(ジョン・バリモア)が、知人の画家を訪れたた時、モデルの美少女トリルビー(マリアン・マーシュ)の声に惚れ込む。彼女が自分が恋人の若い画家ビリー(ブラムウェル・フレッチャー)にふさわしくないと思い込んでいるのを知ると、得意の目でかける催眠術を使い、彼女を入水自殺して見せかけて二人で逃亡する。
 数年後彼らは歌姫と指揮者として欧州中の人気を誇るようになるが、イタリアで催眠が切れた間に彼女が聴衆としてやって来たビリーに気付く。スヴェンガリは公演をキャンセルして逃亡し、コーディネーターの予想通り落ちぶれる。
 さらにその後エジプトの酒場で演奏をしている二人の前にビリーが現れると、生命力の衰えたスヴェンガリは最後の力を振り絞ってトリルビーの催眠を掛け、彼女の目が覚めないのを確認すると息絶える。

という怪奇劇だが、多くの方が指摘するように、霊的なまでに凄味のある催眠術を別にすると、老人の偏執的とも言える美少女への慕情を描いたロマンスという印象である。
 妙齢美人の扱いが逆であるものの、同じ年に作られた「嘆きの天使」と構図的に似ていて、催眠術を掛けるのスヴェンガリだが、彼女が老人に術を掛けたかのように彼を恋の虜にするのである。

英国原作ながらドイツ的なお話とも言え、「カリガリ博士」(1919年)と比較する向きもあるが、美術的・映画芸術的にそこまでの凄味はない。但し、カメラが後ずさりしてシームレスに窓の外へ出てしまうのは面白い。しかし、その逆にカメラが窓に入る時にはショットが切り替えられる。両方ともやったら僕はもっと評価したのだが。

配役では、白目になる特殊メイクを含めたジョン・バリモアの顔芸の凄味と、マリアン・マーシュの可愛らしさが見どころと言うべし。

スヴェンガリという名は、イタリア系だろうか?

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