映画評「星の子」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・大森立嗣
ネタバレあり

今村夏子の同名小説を大森立嗣が映画化したドラマ。

現在中学3年生のちひろ(中学時代:芦田愛菜)は生まれた時から病弱で、生後間もないうちの湿疹に手を焼いた時にある新興宗教が売る水を使って(偶然かもしれないが)回復、父(永瀬正敏)と母(原田知世)はすっかり信者になり、時間があれば頭にタオルを乗せ水をかけ、それ以来風邪を引かないと豪語する。彼女が小学生の時に姉のまーちゃん(蒔田彩珠)はそんな親を嫌って出て行ったきり帰って来ない。
 公園で“タオルに水かけ”を実行している両親を見た憧れの南先生(岡田将生)にそれと知らず“変人”と言われ、ちひろは動揺する。それでも、彼女は妹夫婦の傾倒ぶりに心配する伯父(大友康平)の夫婦から高校に通う為に家に来ないかと勧められた時、断固として断るのだ。

敢えて矮小化して言えば、青春映画である。
 親の信仰する新興宗教を信じて疑問を覚えずに来たヒロインが、伯父さんや先生に意識的に或いは無意識的に言われ、一般世間から見た親のずれぶりに気づいて動揺するが、姉と違い彼女にとって宗教以上に宗教である両親を無碍に思うことはできない。そんなお話でござる。
 そして、その姉でさえ家出の前に水の効果のインチキぶりを一緒にばらした伯父に食って掛かる。変な宗教に傾いているとは言え、愛情をこめて子供を育てて来た親に対する子供の意識はそんなものである。

やや冗長な幕切れは、一緒に同じ流れ星が見える間は親子として仲良くしていよう、ということを意味するようである。結局三人が全員同じ流れ星を見ることなく映画は閉幕するのだが。

芥川賞絡みの小説(本作も候補作らしい)の映画化の多い大森監督は、かつて花村萬月原作「ゲルマニウムの夜」で神父の児童性愛も出して来たので、本作でももっと人間の原罪にアプローチする、あるいは宗教批判的な作品になっていくのかと思いきや、宗教を含め、信じることの意味を問う作品であった。水を飲んでいるから風邪を引かないと豪語する父親が寒い屋外にずっといるうちくしゃみをするラスト・シーンでの様子もそこはかとなくユーモラス。
 本作でヒロインが真に信じているのは親であり、新興宗教はどうでも良いのである。新興宗教に傾く家族を描きつつ、一部の行為を別にするとごく一般的な家族の情景に変わらない描写に推移するのは、そういうことではないか。

IMDbにおける日本製実写映画の評価が概して低い。本作は何と5.5。僕も6だから絶賛はしていないが、僕が6を付ける映画の平均値は大体6.8だから、1点以上低い。平均値でこの差は大差である。日本の文化が理解できていない面があるにしても、きちんとした映画観を以って接すればもう少し上がる筈なのだが。

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