映画評「レオナルド~知られざる天才の肖像~」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2021年イタリア=アメリカ=イギリス=フランス=スペイン合作映画 監督ダニエル・パーシヴァル、アレクシス・ケーヒル
ネタバレあり

WOWOWで放映された8回に渡るTVシリーズである。
 半世紀近く日本のドラマ・シリーズ(厳密にはシリアル。日本の刑事ものなど読み切りをシリーズと言う)を僕は観ていない。僕にはとても何か月も付き合う気の長さがないのだ。最近でこそ日本でも8回くらいのシリアル・シリーズも多いが、僕らが若い頃は短くて26回であった。
 そんな僕がどうして観たかというと、本シリアルにはミステリー要素があると知ったからである。レオナルド・ダ・ヴィンチとミステリーの組み合わせなら面白い可能性が大・・・と踏んだのである。
 しかし観始めてから7週間は長いよ。前半のほうはすっかり忘れてしまったではないか。

レオナルド(エイダン・ターナー)が、離合を繰り返した長年の恋人カテリーナ(マティルダ・デ・アンジェリス)を殺した罪で逮捕され、若い調査官(フレディ・ハイモア)に調べられるが、否定も自白もしない。
 その調査の過程で回想が為され、「キリストの洗礼」(師匠ヴェロッキオの作品。一部に協力しこれで師匠を凌いだと言われる出世作)「ジネブラ・デ・ベンチの肖像」「オルフェオ物語」「スフォルツォ騎馬像」「最後の晩餐」「イモラの地図」「アンギアーリの戦い」「レダと白鳥」という代表作を巡る逸話が紹介される。

このうち「イモラの地図」は芸術作品ではなく、ボルジア家の為に書かれた戦略用の地図。「アンギアーリの戦い」は未完の壁画。“あれ、「モナ・リザ」がないではないか”と言われるだろう。逮捕される前モデルとなったリザ・デル・ジョコンダの真実を見出せない為に完成できないまま、レオナルドは逮捕されたのである。

最後はいつの間にかレオナルドに傾倒した調査官がカテリーナの死の謎を解明するのである。謎解きを縦糸に、作品に関わる挿話を横糸にしてなかなか要領よく作られ、長さに応じて一般的な劇場用映画に比べ冗長な部分もあるが、勉強にもなりミステリー的にも楽しめるという一粒で二度おいしい作品になっている。

但し、当時のイタリアはイタリア圏という概念はあったが都市国家群であったので、政治的な部分では解りにくいところがある。本作にも出て来るマキャベリの「フィレンツェ史」を読んでいる僕は何とかなるが、読んでいない人は少し苦労するだろう。

ロケはレオナルドの本国イタリアやスペインで行われたと思われるが、主要配役は英国勢が目立つ。恋人カテリーナ役のマティルダ・デ・アンジェリスはイタリア人だからオリジナル原語版でも吹き替えかもしれない。TVドラマ故に日本語吹き替え、良くも悪くも配役の出身国差に何の違和感もないが、子役だったフレディ・ハイモア君は以外はご本人の声を知らない(多分)ので、残念と言えば残念なのだ。

レオナルドは音楽にも関わったが、本作では紹介されない。多才の彼もさすがに文学には足跡を残せなかった。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント