映画評「さよなら、僕のマンハッタン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督マーク・ウェブ
ネタバレあり

青春映画の佳作「(500)日のサマー」で一躍日本で知られることになったマーク・ウェブ監督の作品で、これまたなかなかの佳作だった「ギフテッド」と同じ年に製作された青春映画。
 ユーモアの希薄なウッディー・アレンの映画と思えば、当たらずと雖も遠からず。配給会社もアレンっぽさを感じたのか、邦題がアレンの「マンハッタン」と「さよなら、さよならハリウッド」と「ぼくのニューヨークライフ」を併せて適当に割った感じがある。

因みに、原題はサイモン&ガーファンクルの5枚目にして最後のオリジナル・アルバム「明日に架ける橋」Bridge Over Troubled Waterに収められた「ニューヨークの少年」The Only Living Boy in New York から戴いている。

ニューヨークで独り暮らしをする青年カラム・ターナーが、元同窓の美人カーシー・クレモンズとの関係を友人から恋人にまで進展させようと苦闘している或る日、隣人として越して来たインテリ老人ジェフ・ブリッジスと知り合いになり、カーシーとの関係や出版業界の実力者たる父親ピアース・ブロスナンとのちょっとした確執について打ち明ける。
 枯葉、父親が躁鬱病を患っている母親シンシア・ニクスンを放っておいて、美人ケイト・ベッキンセイルと楽しく過ごしている現場を目撃、益々不快になる。これについても報告する。
 やがてブリッジスが「ニューヨークの少年」という、自分とその周辺をモデルにした新作に取り掛かっている有名な小説家であることに気付く。ターナー君は母親の為にケイトと父親を切り離そうとするが、”木乃伊取りが木乃伊になる” の伝でケイトと懇ろになるが、彼女から父親と身を固めると告げられて激怒、父親のオフィスに駆け込む。
 父親が大事に取っていた野球選手として活躍した息子の新聞報道の写真にブリッジスを見出した彼は、ブリッジスから衝撃的な話を打ち明けられる。作家の話から、母親の、そして父親の思いを理解したターナー君は全てを許せる境地に達する。というより自分の愚かさに気付いて一段高い位置に上る、と言うべきか。

“衝撃的な話”の内容は伏しても推して知るべしなので、教えません(笑)。

謎の絡め方など作為が過ぎて些か三文小説っぽさを禁じ得ない内容ながら、若者が真実と思い込んだことが事実とは大分違った・・・という展開ぶりにちょいと面白味がある。
 例えば、作家が相談相手(実は当事者)として仄めかすように、母親としては父親が世間で言う不倫をしてくれたほうが気持ちを解放することができるといった面がある。事実、父親と別居した母親は昔やっていた執筆関係の仕事を再開したらしい。

怪我の功名、或いは、雨降って地固まると言いたくなる内容が最終的に爽やか。
 人を見た眼で判断して失敗する大学生の若者を主人公にしたアレンの近作「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」と結構重なる内容だが、構成の巧さでアレン作に及ばず。

【ローリング・ストーン誌】はサイモンとガーファンクルよりソロのポール・サイモンの方を高く評価している。僕も初期の数枚をピックアップして、2026年くらいに発表を予定している(気の長い話)洋楽ベスト100アルバム選定の為に聴き込んでいる。「グレイスランド」の評価が高いが、よく解らん。サイモンもボブ・ディランほどではないにしても、歌詞を正しく理解しないと価値を把握しかねるアーティストでしょう。

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