映画評「青くて痛くて脆い」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・狩山俊輔
ネタバレあり

君の膵臓をたべたい」の住野よるによる同名小説の映画化。色々紆余曲折はあるが、主題は非常に解りやすく、話もそれに沿って簡単にまとめてしまいましょう。

人に近づくことが最終的に他人も自分も傷つけるという人生観をもって生きて来た青年・吉沢亮が。大学でSDGsを目標としているような同窓の杉咲花に誘われて、一緒にモアイというサークルを始める。
 ところが、大学院の先輩・柄本佑が参画して彼女が彼に傾いたことを機にサークルを抜け、3年後モアイが所期の目的を放棄して軟弱な就職活動サークルに変じていると糾弾、個人情報を流出させたことをSNSにアップ、これによりモアイは解散する憂き目になる。
 しかし、相変わらず花ちゃんが一生懸命やっているのが実態である為彼は罪悪感を覚え、その事実を投稿するも何の変化もない。卒業後、モアイからMOAIに変わった後輩たちの活動を見学した帰りに見かけた花ちゃんを追いかけ、彼女と向き合うことにする。

うーん、梗概叙述が思ったより長くなってしまったが、実はモアイやSDGsはギミックに過ぎない。
 他人と近づくことを避けていた主人公が、不可抗力的にヒロインに近づきすぎて(知らず恋に落ち)いつの間にか自分を見失い、彼女が先輩に傾いたのを逆恨みして、サークルが変質したという大義名分をでっち上げて潰したものの、やった後で自分の未熟さに気付き、他人に近づくことを恐れずに進むようになる。という青春成長物語でござる。

その主題故に、回想を挟んで現在部分を構成する探偵ごっこをする中盤が存外余り面白くないのはご愁傷さまだが、序盤と終盤はなかなかよろし。“この世界から消えた” というレトリックを用いた結果、そんな中盤でも、そのネタ晴らしで “なるほど”と思わせる辺りはよろし。

モアイが個人情報を流出したのだから事実を暴露した主人公が罪悪感を感じる必要はないという意見を読んだが、解っておりませんな。主人公が罪悪感を感じる対象は、モアイという団体ではなく、 自分が近づいたヒロインである。 自分が(恐らく今でも)好意を抱く女性の夢を壊したことが許せないのである。それは自分を裏切る行為でもあったはずだ。

最後は非常に希望溢れる。彼が指摘する通り実際にも多少歪んでいたサークルが後輩たちの新体制になってよりヒロインの目指したものに近くなり、ヒロインが相変わらず夢の実現を目指す為に横断歩道の白い部分だけを歩く姿を捉えて終わることである。主人公の成長は言わずもがな。

失恋レストランならぬ、失恋サークルでした(意味不明)。

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