映画評「サイレンサー/沈黙部隊」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1961年アメリカ映画 監督フィル・カールスン
ネタバレあり

映画ファンになりたての頃このシリーズはTVで全て観た。「007」シリーズのパロディーというか、コメディー版のような内容。

ビッグOなる謎の組織が、ニューメキシコで行われる核実験場にミサイルを放って、ソ連のせいにして戦争を引き起こし、その隙に漁夫の利を狙って世界征服を企む。
 それを阻止しようと立つのがICEなる米国のスパイ組織で、その任務に選ばれるのがプレイボーイのマット・ヘルム(ディーン・マーティン)。殆どやる気がなさそうで、エージェント仲間の美人ティナ(ダリア・ラヴィ)とお楽しみのほうを優先している風情。
 仕事をかねてアカプルコで楽しむうち知り合った金髪美女ゲイル(ステラ・スティーヴンズ)がどうもビッグOのスパイらしく、彼女と共に上層部が拠点と掴んだニューメキシコへ赴く。
 勿論組織の陰謀は阻止されるわけだが、お楽しみは上記二名の外にも色々と出て来るグラマーたちで、踊った後あっさり一味に殺されてしまう踊り子にベテランのシド・チャリシー。大した役ではないが、ミュージカル・ファンとしては喜ばないわけには行かない。

マット・ヘルムの心境が彼の歌で紹介されるというのも一応のアイデアでそれなりに楽しく、しかも彼の有名な曲の替え歌なのだからなおヨロシイ。
 ゲイルとのドライブ中にカー・ラジオからフランク・シナトラの「カム・フライ・ウィズ・ミー」がかかるとマーティンがくさり、マーティン自身の「誰かが誰かを愛している」がかかるとゴキゲンになるという楽屋落ちも楽しい。但し、マーティンがシナトラ一家の一員であることを知らない若い人には受けないでしょう。

トータルの見せ場や仕掛けが同時代の007と比べて貧弱(但し、逆向けに発射する拳銃が相当楽しめる)だし、およそ50歳のマーティンの動きも大して良くないが、当時のスターが多くスタントを使ったことを役者魂と結び付けて批判するのは的外れと思う。スター・システムの時代は主演クラスの俳優にうっかり怪我などさせられなかった筈である。あるいは、スタントマンをSFXとして僕は高く評価しているので、かかる意見は寂しいと言わざるを得ない。

難しいことはこの辺に措くとして、ステラ・スティーヴンズのズッコケ美女の楽しさを紹介しておきたい。登場から彼女は人を水浸しにし(ヘルムから人間散水車と言われるほど)、後段で自分も雨でずぶ濡れになる。
 これに強い印象を受けた為「ポセイドン・アドベンチャー」のキャスティング係が彼女の採用を決めた・・・という事実はありません。

ご本家「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971年)のジル・セント・ジョンのズッコケぶりに影響を与えたかも。なら凄い。

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この記事へのコメント

2021年05月07日 08:40
オープニングのステージシーン、ステラ・スティーヴンスさんのコメディエンヌぶり、マリリンゆかりの監督、など我が家で書きましたが、シリーズでは一番おもしろかったと思います。1本目のせいもあるのでしょうが。
オカピー
2021年05月08日 17:35
ボーさん、こんにちは。

>シリーズでは一番おもしろかったと思います。
>1本目のせいもあるのでしょうが。

こういう似たり寄ったりの内容のシリーズでは、新味がある分、一本目という要素は大きいでしょうね。