映画評「ルーシー・イン・ザ・スカイ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2019年アメリカ映画 監督ノア・ホーリー
ネタバレあり

リサ・ノワックという女性宇宙飛行士が起こした事件をベースにしたフィクション。日本劇場未公開。

ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」は直接的には関係ないが、映画の半分を過ぎたところで、リサ・ハニガンによるカバーが使われている。

宇宙飛行士ルーシー(ナタリー・ポートマン)は、宇宙でのミッションに成功して充実感を覚えるが、地上に戻るやNASAの関係者である夫(ダン・スティーヴンズ)との生活が物足りなさを感じ、遊びに誘ってくれた同僚の飛行士マーク(ジョン・ハム)に傾く。
 仲の良かった親代わりの祖母(エレン・バースティン)の死を契機に彼女は急激に精神の均衡を失い、一方的に夫に別居を宣言、マークが若い女性飛行士(ザジー・ビーツ)とバカンスに出るのを知って空港まで追いかけると、マークに殺虫剤をかけ、警察に逮捕される。

前半はヒロインが空虚感を覚える様子を捉えるおっとりした場面が続くが、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」を背景音楽に祖母の寝る病院へ駆けつける場面以降、狂気と優秀さ故にヒロインが不可解な言葉を吐き出すなどニューロティック・スリラーのような様相を呈していく。

最後は、3年後にハチミツ作りに勤しむヒロインと、彼女が預かっている姪(パール・アマンダ・ディクスン)の読む生命に関する詩を重ねて全巻の終了。

単なる不倫ドラマではないのだろうが、全体的に些か気取り過ぎで、余りピンと来ない。ヒロインの心象を描いた先が嫉妬による暴力事件とは締まらないこと甚だしいと言うべし。実際のリサ・ノワックはともかく、ルーシーという名前を与えられた本作のヒロインが別の生きがいを見つけたようでまずは良かったね、という印象だけに終わるのが勿体ない。

画面サイズを奔放に変える(一番多いのが4:3アスペクト比の画面。それが右や左へずれたりもする)のがちと面白いものの、意図不明でうるさくなった印象のほうが強いと言ったら、本作が初メガフォンで意気込んで作ったらしいノア・ホーリーに失礼だろうか? ナタリー・ポートマンの熱演も文字通り空振りという感じだったのはご愁傷様。

去年から諸事情があってビートルズを再び聴く機会が増えた。勿論永遠なるビートルズ・ファンであるから常に聴いてはいたが、その頻度がぐっと増したということ。それにしても、昨年行われた30歳未満が80%弱を占めるYouTube番組の洋楽アーティストの人気投票で、ビートルズが断トツの1位(2位オアシスの二倍の得点)に選ばれていると知ってさすがに腰を抜かした。結果は知っていたが、僕はもっと高齢者が多いと思っていたのだ。1990年代以降の音楽を聴き源泉を探るうちにどうしてもビートルズに辿り着いてしまうということらしい。

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