映画評「ANNA/アナ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年フランス=アメリカ=カナダ=ロシア合作映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり

リュック・ベッソン監督としては「ニキータ」(1990年)系列のスパイ・スリラー。「ニキータ」を世評ほど買っていない僕はこちらのほうが面白かったくらい。

ソ連末期のモスクワでマトリョーシカを売っていた美人アナ(サッシャ・ルス)がフランスのモデル事務所にスカウトされるが、その共同経営者のロシア人を鮮やかに射殺する。
 それは何故かという説明が時系列を遡って説明されるのだが、この巻き戻し型の見せ方が序盤どうにもまだるっこい。しかるに、その後彼女がKGBのスパイとしてターゲットをやっつけようと侵入した現場でCIAに拘束され、それが第二の種明かしとして紹介される辺りから段々興味深くなってくる。
 かくして二重スパイとしてKGBの長官を暗殺したところで彼女の行方は杳として知れなくなり、彼女に恋心を覚えるCIAエージェントのレナード(キリアン・マーフィー)は失意を隠せない。
 数か月後アナからメール連絡があってパリへ急行すると、そこにはKGBで彼女と恋仲になったアレクセイ(ルーク・エヴァンズ)も待っていて鉢合わせ、当然両陣営関係者も様子を伺っている。

この辺りがベッソンらしいおとぼけを発揮した場面でなかなか愉快。双方に互いの情報を与えて命の担保を得たつもりの彼女は、しかし、KGBの女性幹部オルガ(ヘレン・ミレン)に射殺される。

これにも裏があって・・・という流れで、その裏事情はまあ想定内のものだが、種明かしを三回積み重ねたことで面白さが醸成されるという印象を覚える。それぞれの単独で見ても大したことがないものも、三階の積み重ねで相乗効果が現れるのである。
 但し、種明かしの部分で前あった場面が繰り返される時ほぼそのままというのは芸がない。ちょっとアングルを変えて見せないと映画芸術的に寂しいものになる。

ベッソンのアクション処理は比較されがちな「ニキータ」より切れ味がよくなっていると思うが、何しろ30年前に観たきりなので自信はない。

「アンナ・カレーニナ」で知られるように、ロシア語Аннаの発音は“アンナ”のほうが近いと思う。研究不足でしかとは解りませんが。配給会社がこの表記を選んだ背景に「アナと雪の女王」の大ヒットがあると推測する。

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