映画評「夜の来訪者」(2015年)

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2015年イギリス映画 監督アスリング・ウォルシュ ネタバレあり チャールズ・ブロンスン主演のスリラーに「夜の訪問者」(1970年)という邦題の作品があるが、全く関係ない。英国の人気大衆文学作家J・B・プリーストリーの戯曲のTV映画化である。日本でも文庫本が出たほどの人気作で、TV映画を中心に何…
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映画評「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督ボー・バーナム ネタバレあり エイス・グレードというのはアメリカ教育制度における8年生のことである。どうも現在のアメリカは大体4-4-4制らしいので、中学(Middle)の最終学年ということ。 間もなく高校へ進む大人しい少女ケイラ(エルシー・フィッシャー)は、自信…
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映画評「楽園」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・瀬々敬久 ネタバレあり 吉田修一の短編集「犯罪小説集」収録の短編二編を組み合わせて作ったドラマ。 長野県の限界集落で、学校帰りの小学3年生くらいの女児・愛華が行方不明になる。直前まで一緒にした同級生・紡は喧嘩別れした後なので自分のせいのように感じる。  12年後似…
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映画評「スキャンダル」(2019年)

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年アメリカ=カナダ合作映画 監督ジェイ・ローチ ネタバレあり 「スキャンダル」という邦題の映画はやたらにあるので、困ります。この映画の主題はどう考えてもスキャンダルではないが。 ドナルド・トランプが大統領から退いたので、少なくとも3年後くらいまでは日本で関心を持たれることが少なくなる…
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映画評「木曜組曲」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2002年日本映画 監督・篠原哲夫 ネタバレあり 篠原哲雄という監督は「深呼吸の必要」(2004年)で感覚が面白いと思って以来気づけば観ることにしているが、なかなかその時の印象に及ぶものがない。と言っても、同作が彼の最高傑作という意味ではない。  本作はそれより2年前の作品で、当時は知らなかった…
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映画評「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督ジョン・チェスター ネタバレあり ドキュメンタリー映画。日本的大衆に向けたサブタイトルが煩いものの、内容は実に良い。 キリスト教的あるいはアメリカ的な考えの難を指摘する意見を読んだが、農場の経営者であり作者でもあるジョン・チェスターは既にその問題に気付いている。…
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映画評「犯罪河岸」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1947年フランス映画 監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾー ネタバレあり 1980年代に観たことがあり、我がライブラリーにビデオもあるが、画質が上であろうプライムビデオで観る。アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの日本における出世作である。 第二次大戦直後のパリ。ピアニストのベルナール・ブリエは…
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映画評「月曜日のユカ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1964年日本映画 監督・中平康 ネタバレあり ブログを始める何年か前に観ている。 Allcinemaにあるコメントの通り、「狂った果実」(1956年)でヌーヴェル・ヴァーグに影響を与えたとあれる中平康監督が、成熟したヌーヴェル・ヴァーグから逆輸入したような感覚が爆発、大いに楽しめる。原作…
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映画評「弥生、三月-君を愛した30年-」

☆☆★(5点/10点満点中) 2020年日本映画 監督・遊川和彦 ネタバレあり 長きに渡るロマンスでござる。 スタートは1986年。正義感が強く押しの強い女子高生・波留は、血液の病気(血友病?)を患っている同級生・杉咲花と仲が良く、彼女の大好きなサッカー男子・成田凌との恋の成就に奔走するが、告白させる前に親友は死んでしま…
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映画評「悪人伝」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年韓国=アメリカ合作映画 監督イ・ウォンテ ネタバレあり 韓国映画は映画論的にはなっていない(洗練度が低い)ものが多いのだが、皮肉なことにそこに日本あるいは世界の大衆に買われる理由がある。  例えば、韓国映画ではギャグとシリアスさが同じ作品に同居する。それらが適度にちらばっているのであれ…
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映画評「ニューオリンズ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1947年アメリカ映画 監督アーサー・ルービン ネタバレあり プライムビデオの無償リストに観ていない洋画は(ドキュメンタリー、TV映画を別にすると)殆どないが、この日本劇場未公開映画は初鑑賞。音楽の見識を増やそうと観てみた。 1917年のニューオリンズはベイズン・ストリートからお話は始まる。…
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映画評「記憶屋 あなたを忘れない」

☆☆(4点/10点満点中) 2020年日本映画 監督・平川雄一朗 ネタバレあり 織守(おりがみ)きょうやという作家によるホラー小説の映画化であるが、映画版はホラーの印象はなく、ファンタジーを仕込んだ青春映画の趣きである。 プロポーズした恋人・杏子(蓮佛美沙子)にすっかり忘れられてしまった広島出身の大学生・遼一(山田涼介)…
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映画評「ある船頭の話」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年日本映画 監督オダギリジョー ネタバレあり この間観たグルジア映画「とうもろこしの島」で老人と孫娘がいかだで川を横切るのを観たばかりだが、本作でも似たような絵柄が見られる。水難と放火の違いはあるが、小屋を失う幕切れも似ている。  そう言えば、この作品にはどこか中央アジアの薫りが漂う。監…
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映画評「地の群れ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1970年日本映画 監督・熊井啓 ネタバレあり プライムビデオの無償ラインアップに発見したので、観てみた。朝観終わり、たまたま図書館に出かける日だったので、予定の本に加えて急遽井上光晴の同名小説を借りて来、本稿の粗稿を書く前に完読した。  映画に解りにくいところがあったからだが、逆に映画を観て…
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映画評「シェイクスピアの庭」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年イギリス映画 監督ケネス・ブラナー ネタバレあり ちょうどウィリアム・シェイクスピアの最初の戯曲「ヘンリー六世」を読もうと思っていたところ。  偶然ではないが、本作は逆に最後の戯曲「ヘンリー八世」上演の際に主催するグローブ座が焼失した為劇作家を引退してロンドンから自宅に帰った後のシェイ…
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映画評「37セカンズ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2019年日本映画 監督HIKARI ネタバレあり 生れる時に37秒間呼吸をしなかった為に脳性麻痺になりずっと車いす生活を送る23歳のユマ(佳山明)は、親友の人気漫画家(萩原みのり)のアシスタントをしているが、内実はゴーストライターである。自分の名前で発表したいという夢を持つ彼女は思い切ってアダ…
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映画評「ドミノ 復讐の咆哮」

☆☆(4点/10点満点中) 2019年デンマーク=フランス=ベルギー=イタリア=オランダ=イギリス=アメリカ合作映画 監督ブライアン・デ・パルマ ネタバレあり WOWOWのパンフレットを眺めるうちブライアン・デ・パルマの名前が目の片隅に入ったので、観ないわけには行かなくなった。彼の名前がなかったら観ることはなかったであろうスリ…
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映画評「ブラック・クランズマン」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督スパイク・リー ネタバレあり これもまた実話ものだそうである。しかし、素材が相当面白い。監督はやや久しぶりのスパイク・リー。 ブラック・パワー映画「スーパーフライ」と「クレオパトラ・ジョーンズ」の名前が出て来るから、時代背景は多分1973年ではないかと思う。 …
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映画評「ある少年の告白」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年アメリカ=オーストラリア合作映画 監督ジョエル・エドガートン ネタバレあり 二十歳くらいの若者ルーカス・ヘッジズが、化粧の濃い母親ニコール・キッドマンに連れられて、ある施設へ赴く。施設の内奥には母親は入れず、本人からは携帯電話が奪われ、日記の類は書くのを禁じられる。  暫くはこの施設の…
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映画評「21世紀の資本」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2018年フランス=ニュージーランド合作映画 監督ジャスティン・ペンバートン ネタバレあり 題名から解るように、数年前に日本でも相当話題になって経済学書にも拘らず売れに売れたトーマス・ピケティの「21世紀の資本」の映像版でござる。  従って、この本を読んでいる人は敢えて観るに及ばない。言い換え…
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映画評「河」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1952年フランス=インド=アメリカ=イギリス合作映画 監督ジャン・ルノワール ネタバレあり 正確には憶えていないが、初めて観たのは30年以上前である。  英国の閨秀作家ルーマー・ゴッデンが英国統治時代のインドを舞台に書いた自伝的小説をインドで映画化したもので、 Allcinema の諸氏が…
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映画評「寝ずの番」

☆☆★(5点/10点満点中) 2006年日本映画 監督マキノ雅彦 ネタバレあり 2006年の春先、津川雅彦がマキノ雅彦の別名で初メガフォンを撮ったことを某公共放送局が取り上げていた。映画館に行くほどではないにしても、映画揺籃記から成長期にかけて大きな働きをしたマキノ(牧野)家の血がどのように発揮されるかと楽しみにした。が、翌年…
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映画評「五人の斥候兵」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1938年日本映画 監督・田坂具隆 ネタバレあり 1938年の戦意発揚映画である。しかし、太平洋戦争開戦前でまだ映画作家も言いたいことがある程度言え、この作品からその思いは伝わって来る。単なる戦意発揚映画とこき下ろしてはなるまい。 本作は我が家のライブラリーにあるが、ビデオなので、大分マシ…
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映画評「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年ウルグアイ=アルゼンチン=セルビア合作映画 監督エミール・クストリッツァ ネタバレあり アメリカや日本には共産主義に悪いイメージを持っている人が多い。 “持てる人” がそうなるのは解るが、貧民にも割合多いのは、一方で戦前の教育と、それを引きずって必要以上に左翼を監視する戦後の体制があり、…
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映画評「30年後の同窓会」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2017年アメリカ映画 監督リチャード・リンクレイター ネタバレあり ダリル・ポニックサン(ポニックさんではない)が「さらば冬のかもめ」の続編(もしくは姉妹編)として書いた小説をリチャード・リンクレイターが映画化。ポニックサンとリンクレイターが共同で脚色に当たっている。 今世紀頭のイラク戦…
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映画評「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」

☆☆★(5点/10点満点中) 2017年イタリア映画 監督マイケル・ラドフォード ネタバレあり 障碍者の作品が続きそうになったので三本目に選んだのがこれ。  ところが、声楽家の伝記映画なので大丈夫と思ったのが運の尽き、主人公のアンドレア・ボチェッリは最初弱視でやがて失明する。2月にはWOWOWが放映した洋楽のドラマ映画のうち…
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映画評「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(地上波放映版)

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年アメリカ映画 監督J・J・エイブラムズ ネタバレあり シリーズ最終作(第9作)でござる。最初の三作は全て映画館で観たが、残りは全てWOWOWでこなしてきた。しかし、最終作はWOWOWが日本テレビに先行放映権を許したらしく、CMカットがあるとは言え本編ノーカットなので観ることにした。  …
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映画評「だれもが愛しいチャンピオン」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年スペイン映画 監督ハビエル・フェセル ネタバレあり 「タッチ・ミー・ノット」に続いて障碍者が出て来る。こちらは知的障碍者オンリーで、しかも、それ自体が主題のようなものである。障碍者の映画が増えているようで、これを観終わった後観ようと思った作品がたまたま二本障碍者が主役だったので、余りこの…
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映画評「ハウスメイド」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2010年韓国映画 監督イム・サンス ネタバレあり 先日観た韓国の古典スリラー「下女」の50年後のリメイク。  オリジナルはモノクロ時代の欧米スリラーに匹敵する純度の高い秀作だが、本作は階級対立がテーマとして明確に打ち出されている。その点でオリジナルより「パラサイト 半地下の家族」に近い。 …
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映画評「とうもろこしの島」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2014年ジョージア=ドイツ=フランス=カザフスタン=チェコ=ハンガリー合作映画 監督ギオルギ・オヴァシュヴィリ ネタバレあり 「みかんの丘」をプライムビデオで観た時に、この作品の名前が目に入った。日本では一緒に上映されることが多かったらしいジョージア製ドラマである。「みかんの丘」同様にアブハジ…
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映画評「永遠の門 ゴッホの見た未来」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年アイルランド=スイス=イギリス=フランス=アメリカ合作映画 監督ジュリアン・シュナーベル ネタバレあり フィンセント・ファン・ゴッホの伝記映画は、2017年に再鑑賞に当たる「炎の人ゴッホ」、2019年に異色アニメ映画「ゴッホ 最期の手紙」と一年おきに見ている計算になる。 「炎の人ゴ…
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