映画評「だれもが愛しいチャンピオン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年スペイン映画 監督ハビエル・フェセル
ネタバレあり

タッチ・ミー・ノット」に続いて障碍者が出て来る。こちらは知的障碍者オンリーで、しかも、それ自体が主題のようなものである。障碍者の映画が増えているようで、これを観終わった後観ようと思った作品がたまたま二本障碍者が主役だったので、余りこの類が続くのもどうかと思い、全く別系統の作品を選ぶことになったと述べておきます(落ちがあって、その選んだ作品の主人公も障碍者でした)。

お話は単純。

プロ・バスケットボール・チーム副コーチ(野球以外の多くのスポーツではコーチは監督を指す)のハビエル・グティエレスが、コーチを殴ってチームを首になった上に、道交法違反に加えて警察への態度が問題に附され、裁判の結果罰金・服役の代りに、知的障碍者のバスケットボール・チームのコーチを務めることになる。
 とにかく言動が健常人から見れば珍妙な彼らをまとめるのに四苦八苦するが、根は優しい男のようで水恐怖症の男性を直してあげた後、言葉の悪いダウン症少女(?)が加わると、適材適所の配置が奏功して、勝利を収めるようになり、遂には決勝戦へ進む。
 ところが、相手チームが本拠地とするカナリア諸島で行われる決勝に参加するのは、組織の財政が許さない。コーチは、出産をめぐって不仲になっている妻アテネア・マタ(元女優という設定)と協力、警官になりすまして、メンバーが勤めるレストランの経営者を脅して障碍者を虐待している罪をネタにその費用を捻出、決勝戦を実現させる。

この映画が素晴らしいのは試合の後の場面に尽きる。
 彼のチームは接戦を落とす。ところが、負けた選手たちは相手を100%の思いで祝福、自分達は2位になったんだと喜びを表す。この場面に不覚にも涙が出て来た。
 健常者はこの態度はなかなか取れない。取ったふりは出来るが、自分の心は偽れない。彼らにはそういうわだかまりがないのだ。普段から障碍者として皆を同じように思っているからであろう。そして、障碍者の一人が言うように、健常者には彼らに比べて足りないものがあるのだ。

夫婦も和解、母子(コーチとその母親)の関係もぐっと接近してジ・エンド。些か調子が良すぎるし、お話の進行が型通りと言えるところが多く、技法的にも凝ったところが殆どなく、映画芸術的には “まあまあ” という感じだが、そんなアングルで映画を観ることがない人には絶対的にお薦め。映画芸術・映画技術的に見る方も一見して損はないと思う。

皺のよった手の写真を見て、農民はその手の持主が苦労したことを想像する。インテリは写真の撮られ方を見る。生れ育った環境によりかように見方が違ってくる。と、昨年末「100分de名著」の“ディスタンクシオン”の回で説明されていた。僕のように親に教育がなく貧乏生まれなのに撮られ方のほうで映画を見る人間は、例外的なのだ。

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